2024年は記録的に選挙の多い年で、インターネット上には誤情報や偽情報が蔓延すると想定され、証拠に欠く情報は単に無視するのが最良の選択になるかもしれない。

How online misinformation exploits ‘information voids’ — and what to do about it p.215

doi: 10.1038/d41586-024-00030-x

欧州委員会が発表したAIの規制法案には穴があり、科学者たちはその穴を埋める手助けができるはずだ。

There are holes in Europe’s AI Act — and researchers can help to fill them p.216

doi: 10.1038/d41586-024-00029-4

高機能AIツール、月探査、超高速スーパーコンピューターなど、2024年に注目すべき科学イベント。

The science events to watch for in 2024 p.221

doi: 10.1038/d41586-023-04044-9

AIツールの性能向上は意外にも予測可能であり、超知能AIが突如として出現する恐れは低いことが明らかに。

Will superintelligent AI sneak up on us? New study offers reassurance p.223

doi: 10.1038/d41586-023-04094-z

反ユダヤ主義を容認したことで物議を醸し、論文の剽窃疑惑が持ち上がった米国ハーバード大学のClaudine Gay学長が辞任。

Harvard president’s resignation amid plagiarism allegations leaves academics reeling p.224

doi: 10.1038/d41586-024-00009-8

がんと闘うCAR-T細胞を、ウイルスの注射によって体内で作れる可能性が。

Cancer-fighting CAR T cells could be made inside body with viral injection p.225

doi: 10.1038/d41586-023-03969-5

AIに意識があるかどうかを評価する研究に助成を増やすよう、AMSC（Association for Mathematical Consciousness Science）の研究者たちが国連の諮問機関に要望を。

AI consciousness: scientists say we urgently need answers p.226

doi: 10.1038/d41586-023-04047-6

SARS-CoV-2ワクチンに、小児の後遺症リスクを低減する効果があることが明らかに。

Vaccines reduce the risk of long COVID in children p.227

doi: 10.1038/d41586-023-04032-z

1月1日に能登半島で発生した巨大地震は、地震多発国である日本でも異例なものに。

Japan earthquakes: the science behind the deadly tremors p.228

doi: 10.1038/d41586-024-00010-1

CRISPR技術で新しい作物を作る

How CRISPR could yield the next blockbuster crop p.230

特定の遺伝子を編集する技術を利用して野生植物の迅速な栽培化が試みられているが、技術的な難題、さらには先住民族の知識の搾取という懸念が立ちはだかっている。

doi: 10.1038/d41586-024-00015-w

素粒子物理学：ニュートリノの秘密が身近な場所で明らかになる可能性

Neutrino secrets could be revealed by Earth’s atmosphere p.243

一般的に、ニュートリノの性質は天空の観測や実験室で調べられる。しかし今回、地球の大気中で生成されたニュートリノによって、この長年探し求められていた情報が得られる可能性があることが分かり、既に実験がかなり進行している。

doi: 10.1038/d41586-023-04085-0

神経科学：マウスに見られる不可解な極めて遅い脳活動

Mysterious ultraslow and ordered activity observed in the cortex p.244

今回、マウスのナビゲーションの役割を担うニューロンが連鎖的に発火し、約1分おきに繰り返すパターンを形成するが、空間的に組織化されているわけでも、目に見える行動と関連しているわけでもないことが分かった。

doi: 10.1038/d41586-023-03795-9

気候科学：雪の損失の原因は人為起源の排出である

Snow loss pinned to human-induced emissions p.246

今回、大規模で多様なデータセットの解析によって、北半球の積雪が過去40年間で著しく変化したことが明らかになった。この変化の原因が人間活動であることを示す証拠は、雪の損失が今後加速することを示唆している。

doi: 10.1038/d41586-023-03993-5

古代DNA：多発性硬化症の起源はヨーロッパの先史時代にあり

Prehistoric events might explain European multiple sclerosis risk p.247

今回、1600人以上の古代ユーラシア人のゲノムを調べた研究によって、現代のヨーロッパ人において自己免疫疾患のリスクを高めている遺伝的変化が、古代のヨーロッパ人を病原体から守っていた可能性が示唆された。

doi: 10.1038/d41586-023-03977-5

工学：3Dコンピューターチップに至る2Dの道

A 2D route to 3D computer chips p.249

成長し続ける半導体産業が直面する問題の解決策として、極薄材料がかねてから求められてきた。今回得られた、2D半導体から3Dチップを構築できることを示す証拠は、この過度な期待が正当化されたことを示唆している。

doi: 10.1038/d41586-023-03992-6

微生物学：細菌の防御系に勝つウイルス

Viruses wrap up bacterial defence systems p.250

細菌は、バクテリオファージと呼ばれるウイルスに対して多様な防御系を用いる。今回、ウイルスゲノムにおける細菌への対抗防御を特定する方法によって、防御を抑制する特筆すべきモードが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-023-03796-8

天体物理学：超新星爆発後の近接連星系における12.4日の周期性

A 12.4-day periodicity in a close binary system after a supernova p.253

doi: 10.1038/s41586-023-06787-x

量子物理学：ブレークイーブンを上回る忠実度での魔法状態の符号化

Encoding a magic state with beyond break-even fidelity p.259

doi: 10.1038/s41586-023-06846-3

物性物理学：正方格子イリジウム酸化物における量子スピンネマチック相

Quantum spin nematic phase in a square-lattice iridate p.264

doi: 10.1038/s41586-023-06829-4

物性物理学：スピン超固体候補Na₂BaCo(PO₄)₂における巨大磁気熱量効果

Giant magnetocaloric effect in spin supersolid candidate Na₂BaCo(PO₄)₂ p.270

doi: 10.1038/s41586-023-06885-w

工学：二次元電界効果トランジスターの三次元集積

Three-dimensional integration of two-dimensional field-effect transistors p.276

doi: 10.1038/s41586-023-06860-5

化学：ハーバー・ボッシュ過程における表面化学のオペランド計測

Operando probing of the surface chemistry during the Haber–Bosch process p.282

doi: 10.1038/s41586-023-06844-5

化学：脂肪族炭化水素の触媒的不斉カチオン転位

Catalytic asymmetric cationic shifts of aliphatic hydrocarbons p.287

doi: 10.1038/s41586-023-06826-7

気候科学：北半球の雪の損失に対する人間の影響の証拠

Evidence of human influence on Northern Hemisphere snow loss p.293

doi: 10.1038/s41586-023-06794-y

古代DNA：氷期後のユーラシア西部の集団ゲノミクス

Population genomics of post-glacial western Eurasia p.301

doi: 10.1038/s41586-023-06865-0

古代DNA：古代ユーラシア人の選択の全体像と遺伝的遺産

The selection landscape and genetic legacy of ancient Eurasians p.312

doi: 10.1038/s41586-023-06705-1

古代DNA：ステップ牧畜民集団で生じた多発性硬化症の遺伝的リスクの上昇

Elevated genetic risk for multiple sclerosis emerged in steppe pastoralist populations p.321

doi: 10.1038/s41586-023-06618-z

古代DNA：100例の古代ゲノムから明らかになった新石器時代のデンマークで繰り返された集団の入れ替わり

100 ancient genomes show repeated population turnovers in Neolithic Denmark p.329

doi: 10.1038/s41586-023-06862-3

神経科学：内側嗅内皮質に見られる分スケールの振動シーケンス

Minute-scale oscillatory sequences in medial entorhinal cortex p.338

doi: 10.1038/s41586-023-06864-1

神経変性：前頭側頭葉変性症におけるTAF15アミロイド繊維

TAF15 amyloid filaments in frontotemporal lobar degeneration p.345

doi: 10.1038/s41586-023-06801-2

微生物学：ファージは多様な抗防御タンパク質を介して細菌の免疫を克服する

Phages overcome bacterial immunity via diverse anti-defence proteins p.352

doi: 10.1038/s41586-023-06869-w

微生物学：Gabija抗ファージ防御とウイルスによる免疫回避の構造基盤

Structural basis of Gabija anti-phage defence and viral immune evasion p.360

doi: 10.1038/s41586-023-06855-2

微生物学：トキソプラズマ原虫のネコ限定的な有性生殖の前段階をin vitroで作り出す

In vitro production of cat-restricted Toxoplasma pre-sexual stages p.366

doi: 10.1038/s41586-023-06821-y

免疫学：サイトカインに対する免疫応答の単一細胞解析レベルの辞書

Dictionary of immune responses to cytokines at single-cell resolution p.377

doi: 10.1038/s41586-023-06816-9

細胞生物学：腸細胞ではミトコンドリアの機能不全が食餌由来脂質の処理を停止させる

Mitochondrial dysfunction abrogates dietary lipid processing in enterocytes p.385

doi: 10.1038/s41586-023-06857-0

生化学：真核生物リボソームの転位の際のmRNAリーディングフレームの維持

mRNA reading frame maintenance during eukaryotic ribosome translocation p.393

doi: 10.1038/s41586-023-06780-4

分子生物学：哺乳類の初期発生の間に見られる複製タイミングの出現

Emergence of replication timing during early mammalian development p.401

doi: 10.1038/s41586-023-06872-1