Nature ハイライト
Cover Story:ステップ起源の変化:先史時代のユーラシアにおける移動と生活様式の変化が多発性硬化症の遺伝的リスクの上昇に関連している
Nature 625, 7994
今週号の4報の論文でE Willerslevたちは、古代ユーラシアから得られた遺伝学的データを用いて、先史時代の集団に対する大陸横断的な移動の影響を調べている。その結果、古代のステップ集団、農耕民集団、狩猟採集民集団の間の混合に由来すると思われる遺伝的な変化の一部が解き明かされた。特に、ステップ集団の移動が、おそらく狩猟採集から農耕と牧畜に集団が切り替わった際の病原体からの保護に伴う進化的圧力の結果として、ヨーロッパに多発性硬化症への遺伝的リスクの増大をもたらしたことが見いだされている。表紙は、ユーラシアステップの古代墓地で発見された典型的なクルガンの石碑のイラストを用いて、多発性硬化症のリスクとの遺伝的関連性に関わるイメージを表現している。
2024年1月11日号の Nature ハイライト
天体物理学:12.4日の周期性を持つ超新星の残光
量子物理学:誤り訂正によって向上した魔法状態の生成
物性物理学:イリジウム酸化物に確認されたスピンネマチック相
物性物理学:スピン超固体になる反強磁性体
工学:2D FETの3D集積による多機能化
化学:確かめられたアンモニア合成の機構的描像
化学:脂肪族炭化水素の触媒的不斉転位反応
気候科学:北半球の雪の損失に対する人間の影響
神経科学:大脳皮質の超緩徐な周期活動
神経変性:FTLD–FUSアミロイド繊維のアイデンティティーと構造
微生物学:細菌の免疫系を無効化するファージの抗防御系
微生物学:トキソプラズマ原虫の有性生殖の前段階をin vitroで再現する
免疫学:サイトカインに対する免疫細胞の応答をまとめた辞書
生化学:タンパク質合成中の真核生物リボソームのクライオ電子顕微鏡構造
分子生物学:哺乳類の複製タイミングは初期発生の間に確立される