Nature ハイライト
Cover Story:熱生成への一歩:核融合による電力への重要なステップを刻んだ燃焼プラズマ
Nature 601, 7894
核融合を用いた自立的なエネルギー生成の重要な要件の1つは、核融合が起こるプラズマをそれ自体の核融合によって加熱することである。今回、米国カリフォルニア州にあるローレンス・リバモア国立研究所の国立点火施設(NIF)のA Zylstraたちは、プラズマを維持する主要な熱源が核融合である「燃焼プラズマ」領域を実証している。著者たちは、192本のレーザーを用いて、重水素とトリチウムのプラズマを生成した。そして、実験設定を最適化することで、プラズマが自己加熱するようになる条件を生み出すことができた。これは、核融合発電を実現可能にするのに重要な一歩である。表紙は、著者たちが燃焼プラズマの生成に用いた標的の1つである(重水素・トリチウム燃料カプセルが、中心の円形の窓の中に見える)。
2022年1月27日号の Nature ハイライト
エネルギー科学:電池の力で高く飛ぶ
量子物理学:量子コンピューターにおける時間結晶
量子物理学:極低温原子も優れた量子ビットになる可能性
光物理学:誤差逆伝播法で物理系を訓練する
流体力学:高温固体の冷却
進化学:エチオピアの初期のホモ・サピエンスのより正確な年代
考古学:新石器時代のブリテン島における家族構成
古代DNA:ブリテン島を巡る青銅器時代の人の流れ
神経科学:嗅覚で駆動される空間地図
発生生物学:ヒトブラストイドにより不妊研究に明るい見通し
がん:アンサンブルオミクスでがん治療応答を予測する
遺伝子調節:ショウジョウバエ脳の単一細胞マルチオミクスのアトラス
分子生物学:加齢はタンパク質恒常性を損なう
構造生物学:DNA-PKcsの高分解能クライオ電子顕微鏡構造から明らかになった阻害剤の作用様式
構造生物学:光合成光化学系の電子伝達を担う超複合体の構造