Nature ハイライト
Cover Story:命の速さ:哺乳類では細胞の変異速度と寿命が相関している
Nature 604, 7906
哺乳類は、一生を通して変異を獲得する。この過程は、がんを生じさせることが知られており、老化に寄与していると提案されている。しかし、ヒト以外の種では、変異が蓄積される速度や、そうした速度が寿命や体サイズなどの生物学的特徴の影響を受けるかどうかに関する知見はほとんどない。今回A CaganとA Baez-Ortegaたちは、こうした問題に取り組んでいる。彼らは、哺乳類16種の生涯で変異が蓄積される速度を調べ、変異の数が毎年ほぼ一定量増えることを見いだした。また、変異を生じさせる分子過程がさまざまな種にわたってさほど変わらないことも観察された。重要なのは、寿命と変異速度の間に反相関関係が見いだされたことである。すなわち、寿命の長い種では、寿命の短い種より緩やかなペースで変異が蓄積するので、それぞれの種が寿命の終わりまでに獲得する変異の数はほぼ同じになるのである。
2022年4月21日号の Nature ハイライト
ゲノミクス:ヒトのパンゲノム構築に向けて
天体物理学:白色矮星での局所的な熱核バースト
量子情報:飛び交うキュービット
量子情報:中性原子を用いて実行された量子アルゴリズム
量子物理学:ナノ機械の量子レベル操作
ナノスケール材料:三重項融合アップコンバージョンを利用した3D印刷
エネルギー科学:酸エッチングによる接触の改善
気候科学:海洋熱波の全球予測
地球科学:アセノスフェアに存在するプリューム起源の含水メルト
移動:古気候の変化がヒト族の進化を導いた
精神科遺伝学:統合失調症のPGC3ゲノム規模関連解析
精神科遺伝学:統合失調症のリスクと関連する10の遺伝子
神経科学:脳の成長を計測する
微生物学:フィダキソマイシンが特定の細菌だけに効く理由
コロナウイルス:オミクロン亜系統に対する抗体中和活性
がん:固形腫瘍でCAR T細胞の有効性が限定的である理由が明らかに
分子生物学:エンハンサーとプロモーターの相互作用が転写に影響する仕組み
生化学:TPP1と結合したヒトテロメラーゼの構造