Nature ハイライト
Cover Story:高温のストレス:外温動物は極端な温度に対して危険な感受性を示す
Nature 611, 7934
表紙は、コスタリカに生息するアマガエルの一種Cruziohyla calariferである。両生類、昆虫、魚類などの外温動物の生物学的過程は、温度の影響を直接受ける。つまり、小さな温度上昇でも大きな問題になり得るのである。今回J Overgaardたちは、気候変動がこうした動物にもたらす可能性がある影響を調べている。彼らは、おおむね生存可能と考えられる温度範囲では、温度が1°C上昇するごとに、成長、恒常性、老化を維持する生物学的過程の速度が7%増大することを見いだした。しかし、潜在的に危険であると考えられる温度範囲では、温度が1°C上昇するごとに、死につながる高温障害の速度が100%以上増大する。著者たちは、熱波の頻度と強度が増大すると、極端な高温に対する外温動物のこうした感受性は、死亡率の増大につながると指摘している。
2022年11月3日号の Nature ハイライト
原子物理学:高電荷イオンを用いた高精度の光原子時計
光物理学:光の渦を自在に制御する
エネルギー科学:ペロブスカイト相によるNiリッチカソードの安定化
材料科学:毛管力を用いて微小物体を操作するマシン
気候科学:氷床の後退によって起こった北太平洋の貧酸素化
環境科学:耕作地のリン使用および持続可能性に関する課題
地球科学:地球の深部マントルへのカルシウムの溶解
古生物学:ステム群有鱗類のほぼ完全な骨格化石
ゲノミクス:ヒトの核ゲノムに含まれるミトコンドリア由来DNAの全体像
遺伝学:祖先集団横断的なGWASによる脳卒中リスク予測
神経科学:立ち直りはドーパミン次第
植物科学:オーキシン受容体が持つアデニル酸シクラーゼ活性
免疫学:重症COVID-19で生じる持続的な自己反応性
腫瘍免疫学:LRRC15+筋繊維芽細胞は発がんを促進する
細胞生物学:複数回膜貫通型タンパク質に特化したトランスロコン
細胞生物学:エンドソームのERK活性を空間的に調節する非カノニカルなβ2ARシグナル伝達系
構造生物学:眼の毛様体でのグルタミン酸放出へのBEST2とGSの関わり