Nature ハイライト
Cover Story:失われた世界:太古の環境DNAが明らかにした200万年前のグリーンランドの生態系の性質
Nature 612, 7939
表紙は、約200万年前のグリーンランド北部の一部地域に存在した豊かな生態系の想像図である。今回E Willerslevたちは、太古のDNAからこの生態系を再構築している。彼らは、ピアリーランドのKap København累層で研究を行い、5つの異なる地質学的サイトから有機物に富む堆積物試料を集めた。こうした試料からDNAを抽出し塩基配列を決定することで、約200万年前に存在した植物相と動物相の状況の全貌を知ることができた。そして著者たちは、クロベ、トウヒ、カバノキなどの北極の植物種が混生した疎な北方林の証拠と共に、ノウサギ、マストドン、トナカイ、ガンなどの動物の痕跡を見いだした。こうした証拠から、現在は極砂漠となっているグリーンランドのこの地域が、現代より11~17°C温暖であったことが裏付けられ、もはやこの世界のどこにもない生態系が存在したことが示唆された。
2022年12月8日号の Nature ハイライト
天文学:コンパクト天体の合体から生じたガンマ線バースト
量子情報:少数の光子が作る安定な束縛状態
光物理学:ニオブ酸リチウム上に形成された時間レンズ
ナノスケール材料:基板上でキラル集合体を形成
エネルギー材料:スクリーン印刷法によるペロブスカイト太陽電池
気候変動:プラスチックからの将来の二酸化炭素排出量を減らす方法
生物地球化学:コンゴ中央部における泥炭の分解と蓄積
植物科学:原種トウモロコシの高タンパク質含有量の秘密
がん遺伝学:ゲノム解析で明らかになったクローン造血の素因
神経科学:接触を符号化する2つの脊髄経路
神経科学:いつ学習するの、今でしょ
アルツハイマー病:アルツハイマー病におけるPLD3の役割
腫瘍免疫学:フェロトーシスは抗腫瘍免疫を抑える免疫抑制細胞を殺す
がん:化学療法による大腸がん細胞の細胞死は隣接細胞にmTOR依存を引き起こす
構造生物学:デザイナー薬剤によるデザイナー受容体活性化の分子機構