Nature ハイライト

Cover Story:特集:2022年を振り返る:今年の重要人物10人

Nature 612, 7941

2022年も幕が下りようとしている。過去12カ月を振り返り、今年も「Natureが選んだ10人の科学者」が発表された。今年1年間に科学の発展に貢献した人々である。今年の10人のうち3人は、気候変動などの全世界的な危機に関連する進歩に関わった人々で、ウクライナ侵攻や気候変動などの危機に立ち向かうよう各国を唱道し、世界の良心としての役割を果たした国連事務総長António Guterres、11月の国際交渉において気候変動による損失と被害に対する費用を富裕国が負担する約束を勝ち取るのに一役買った国際気候変動開発センター長Saleemul Huq、国際舞台において故国を力強く代表し、現在行われているロシアの侵攻と人類の化石燃料依存を結び付けた気候変動に関する国際間パネル(IPCC)ウクライナ代表団のSvitlana Krakovskaが選ばれた。また、世界的な公衆衛生問題に重要な貢献をした3人、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の3年目に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)の進化の追跡を助け、新たな変異株の出現を促す変異のいくつかを予測した北京大学のYunlong Cao、Patient-Led Research Collaborativeの設立委員としてlong COVIDに関する認識の向上と研究資金の増額に助力したLisa McCorkell、ナイジェリアにおけるサル痘の研究の結果、そのアウトブレイク(集団発生)と闘うための重要な情報をもたらしたニジェールデルタ大学の感染症専門医Dimie Ogoinaが選ばれた。さらに、遺伝子組換えを行ったブタの心臓を初めてヒトに移植したチームを率いて歴史的な偉業を成し遂げたメリーランド大学医学部の外科医Muhammad Mohiuddin、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を宇宙空間に送り、宇宙を調べる大きな能力を新たにもたらしたNASAのゴダード宇宙飛行センターの天文学者Jane Rigby、米国科学技術政策局のかじを取り、米政権の科学アジェンダの重要な項目を立案したAlondra Nelson、妊娠中絶に関する米国の法的基準を覆した最高裁判所の判決の予測される影響について重要なデータを提供したカリフォルニア大学サンフランシスコ校の中絶研究者で人口統計学者のDiana Greene Fosterが選ばれている。表紙は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によってこれまでに得られた驚くべき画像に着想を得て描かれた。この宇宙望遠鏡は、2021年のクリスマスに打ち上げられ、今年の夏に最初の画像を地球に送っており、それ以来、前例のない詳細さで捉えた宇宙の景色を天文学者たちに提供している。

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