Nature ハイライト
Cover Story:地中に埋まる:穴を掘って播種の成功率を高める生物に着想を得た種子キャリア
Nature 614, 7948
ドローンや飛行機を使った植物の種の散布は、広い地域や人が近づきにくい場所をカバーするのに手っ取り早い方法である。しかし、種の空中散布では種が土中に埋まらず、容易に吹き飛ばされたり食べられたりするため、発芽率が比較的低い。今回L Yaoたちは、自己穿孔型の種子キャリアという形で、この問題の潜在的な解決策を提示している。彼女らは、種子にコイル状の尾部があり、この尾部がほどけると土中に自身を埋め込むことが可能になる、顕花植物のオランダフウロ属に着想を得た。そして、木の薄板を使って、湿るとほどけるコイル状の尾部を3つ持つ、生分解性の種子キャリアを作製した。この人工種子キャリアが平坦な地面に埋まる成功率は、2回の誘起サイクルで80%であったのに対し、オランダフウロ属植物の成功率は同じ地面でほぼゼロだった。著者たちは、今回の種子キャリアは、肥料、菌類、そしてセンサーすらも運ぶのにも利用できる可能性があると指摘している。
2023年2月16日号の Nature ハイライト
天文学:球対称を示すキロノバ
物性物理学:ディラック平坦バンド超伝導の証拠
物性物理学:量子ドットで実現されたキタエフ鎖
ナノスケールデバイス:テラヘルツ応用のための電子メタデバイス
ナノスケール材料:伸縮性デバイス用のインターフェース
気候科学:スウェイツ氷河の不均一な融解
気候科学:スウェイツ氷河の抑制された底面融解
古生物学:太古の脳化石から垣間見えた条鰭類魚類の脳の進化
遺伝学:まれなコードバリアントの変異量の遺伝率
発生生物学:ヒト体節形成のin vitroモデルの構築
コロナウイルス:免疫インプリンティングによるオミクロン亜系統の収斂進化
免疫学:肺胞マクロファージのインプリンティング
医学研究:抗体親和性の調節による抗体機能の変換
がん:がんの微小環境を単一細胞レベルで空間的に解析する
遺伝学:相分離異常を引き起こすフレームシフト変異によるまれな遺伝病
構造生物学:mTORC1によるTFEB調節の機構