Nature ハイライト
Cover Story:成長の要因:温暖になった太古の海水はどのようにして小型で成長の速いサンゴ礁魚類の進化を導くのに役立ったのか
Nature 618, 7964
表紙の写真のグレートバリアリーフブレニー(Ecsenius sticus)などのサンゴ礁魚類は、多様で個体数が多く、成長が速い。今回A Siqueiraたちは、こうした魚類の進化史を調べ、成長がどのようにしてサンゴ礁の生命を形成したかを明らかにしている。彼らは、多種多様な種を調べ、進化における急激な変化ではほぼ常に成長の加速が生じ、こうした変化は全球の気温が極めて高かった約6000万〜4000万年前の始新世に起こったことを見いだした。この結果は、より高い海水温が、小型で成長の速い魚類の進化につながり、その後そうした魚類の維持を支えるサンゴ礁が発達した可能性を示唆している。
2023年6月8日号の Nature ハイライト
天文学:温度不均一性による重元素存在量の不一致
天体物理学:高速太陽風を発生させる交換リコネクション
コンピューター科学:より効率的な計算アルゴリズムをAIが見つける
量子物理学:超伝導プロセッサーで実現された非アーベル型エニオン
プラズマ物理学:超高圧高温下でばらばらになる原子と電子
光物理学:1 fsスケールの分解能で測定された光学応答
光学技術:結晶アレイを用いたX線ライトフィールドの検出
材料科学:固体リチウム金属電池におけるデンドライトの形成と伝播
地球科学:連続した地震の破壊の力学的性質、相互作用および遅延
生態学:在来樹種の島の効果
古生物学:旧石器時代のペンダントの所有者像
がんゲノミクス:原発がんと転移がんのがん種横断的ゲノム比較解析
計算社会科学:人は見たいものしか見ていない
神経科学:ミエリンの機能不全はアミロイド沈着を促進する
微生物学:緑膿菌の生活様式を切り替える小分子RNA
がん:腫瘍由来の細胞外小胞・微粒子は脂肪肝を引き起こす
がんゲノミクス:胃オルガノイドを用いたがん進化モデル
細胞生物学:ユビキチンを介したクラスター形成によるERファジーの制御
分子生物学:核膜孔を通過するpre-60S粒子のクライオ電子顕微鏡構造