Nature ハイライト
Cover Story:輝く実例:蛍光模倣体がDNAの三次元折りたたみ能力に光を当てる
Nature 618, 7967
RNA分子は複雑な三次元(3D)構造をとることがあるが、DNAが自己組織化によって同様の3Dフォールド構造をとることができるかどうかはよく分かっていない。今回L Passalacquaたちは、緑色蛍光タンパク質(GFP)のDNA模倣体を用いて、この問題を調べている。この模倣体はLettuce(レタス)と命名されていて、数多くのフルオロフォアの中で蛍光を発することができる。著者たちは、X線結晶学とクライオ電子顕微鏡法を用いて、Lettuceといくつかのフルオロフォアからなる複合体の特性を評価し、Lettuceが独特な方法で折りたたまれてフルオロフォアと結合し、蛍光を発することを見いだした。これは、DNAが自己組織化して複雑な3D構造になり得ることを示唆しており、DNAの構造的組織化が生化学的機能を付与するのに役立つ仕組みに光を当てている。表紙には、Lettuceとフルオロフォアの錯体が中央に、GFPが上部に、Spinach(ホウレンソウ)と名付けられた同様の機能を持つRNAアプタマーが右下に描かれている。
2023年6月29日号の Nature ハイライト
惑星科学:親星に飲み込まれなかった近接巨大惑星
物性物理学:UTe2に見つかった対密度波
物性物理学:UTe2の磁場に敏感な電荷密度波
物性物理学:EuRbFe4As4におけるゼロ磁場対密度波状態
物性物理学:水晶におけるカイラルフォノンの観測
ナノスケール材料:無機ナノ粒子による無制限の可逆的光スイッチング
電気化学:固体電解質反応装置による炭素捕捉
大気化学:天然の短寿命ハロゲンによる間接的な寒冷化効果
生物地球化学:エディアカラ紀のリン循環
生物地球化学:微生物の炭素利用効率と土壌の炭素貯蔵
生態学:何が競合種の共存可能性を決めるのか
進化学:真核生物のアスガルドアーキア内での位置付け
人間行動学:熟練者は先を読む
神経科学:仔に対する雌の行動を切り替える神経回路
植物生物工学:イネの擬似病斑変異体遺伝子を利用した品種改良戦略
がん:がん遺伝子の局所増幅の新たな機構
腫瘍免疫学:CD4+ T細胞も効率的に腫瘍を排除する
がん:染色体断片が一方の娘細胞にのみ引き継がれる仕組み
がん:粉砕された染色体をつなぎ直して次の世代に引き渡す
発生生物学:発生初期の翻訳を単一細胞レベルで調べる
細胞死:プログラム細胞死でのNINJ1タンパク質の役割
細胞死:細胞が死ぬ際に起こる細胞膜破壊を防ぐモノクローナル抗体