Nature ハイライト
Cover Story:くちばしとかぎ爪:Venetoraptorの化石がもたらす初期の爬虫類の多様性に関する手掛かり
Nature 620, 7974
表紙は、約2億3000万年前に生きていた太古の爬虫類の一種Venetoraptor gassenaeの想像図である。恐竜類と翼竜類は、約2億〜7000万年前に、それぞれ陸と空を支配していたが、それらの進化的な祖先動物はよく分かっているわけではない。Venetoraptorは、翼竜類に既知で最も近縁の非飛行性動物群であるラゲルペトン類と呼ばれる爬虫類の仲間である。今回、R Müllerたちによってブラジルで発見された保存状態の良いVenetoraptorの部分骨格が報告されている。この化石には、歯のないくちばしや三日月刀に似たかぎ爪を持つ大きな手などの、独特な特徴がある。著者たちは、Venetoraptorと他の祖先動物の化石の間の形態学的相違は、祖先動物の間で多様性が広がり始めたのであり、恐竜や翼竜の出現のみによって起こったのではないことを示唆していると指摘している。
2023年8月17日号の Nature ハイライト
量子物理学:非平衡状態にある量子気体の状態方程式
材料科学:光で操作できる蛍光性有機ラジカル
材料科学:ジメチルアクリジン系分子を用いた逆型ペロブスカイト太陽電池
材料科学:冷間溶接による疲労亀裂の自己修復
大気科学:水滴の凍結時の微細構造
気候変動生態学:氷河の後退による新しい生態系の出現
地球科学:深部で強くなる内核の散乱構造
地球科学:炭酸塩に富む地殻の沈み込みによって駆動される深部の炭素循環
生態学:淡水生物多様性の回復が停滞
感覚生物学:ハエに磁気感覚は本当にあるのか
人類学:埋葬遺跡に垣間見る地域社会の社会構成
がんゲノミクス:乳がんのクローン進化をたどる
微生物学:溶原菌から特定のファージを誘発する調節論理
アレルギー:マスト細胞の新たな役割
アレルギー:アレルゲンによって行動が変化する仕組み
がん:治療抵抗性がん細胞の多様性は個々の初期細胞内の相違に由来する
構造生物学:真核生物にもあったプログラム可能なRNA誘導型エンドヌクレアーゼ
構造生物学:Rpd3Sは標識を手掛かりにさまざまなやり方でヌクレオソームを脱アセチル化する
細胞生物学:GRKと結合したGPCRの構造