Nature ハイライト
Cover Story:衝突の影響:月を形成した衝突は地球のマントルに地球外の遺物を残した
Nature 623, 7985
表紙は、約45億年前に起きたとされる原始惑星テイアと原始地球の衝突の想像図である。月を形成したのはこの「巨大衝突」であると示唆されているが、テイアが存在したことを示す直接的な証拠はまだ見つかっていない。今回Q Yuanたちは、この衝突のシミュレーションと地球のマントル対流のシミュレーションから得られた結果を組み合わせて、地球のマントルの最下部の2つの大きな領域が地震学的に異なり、周囲のマントルより密度が2~3.5%高い可能性がある理由を説明している。著者たちは、これら2つの密度の高い領域が、45億年前に沈み込んで地球の核の上に蓄積し、地球史にわたって残存したテイアの鉄に富むマントルの遺物であると示唆している。
2023年11月2日号の Nature ハイライト
物性物理学:グラフェンで明らかになった新たなマルチフェロイクス
計算機科学:高速でエネルギー効率に優れた全アナログ式フォトエレクトロニックチップ
医用生体工学:注射器で注入できる人工組織
化学:価電子を4個しか持たない二重酸化カルベン
電気化学:水素を電子源とする電解合成
有機合成:アザアレーンの炭素を窒素に変換する
気候科学:熱帯低気圧発生の季節的な早期化
地球化学:地球で最も高い3He/4He比は核に由来している可能性がある
保全:中国国内の密猟の実態
人間行動学:人間のように思考するAIは可能
神経科学:神経が関与する腸の回復
健康科学:SARS-CoV-2の院内伝播を減らすことの重要性
免疫学:COVID-19後遺症を見分ける特徴
微生物学:寄生虫–哺乳類宿主–吸血性媒介昆虫の相互依存性
医学研究:腫瘍溶解性ウイルス療法の臨床試験結果
細胞生物学:栄養ストレス時に膜タンパク質分解で働く受容体
遺伝学:雌のみがマラリアを媒介する蚊での遺伝子量補償機構
分子生物学:DNA損傷応答を活性化するクロマチンD区画
構造生物学:精子特異的なNa+/H+交換輸送体の作用機構