Nature ハイライト

Cover Story:ラッコは大切:頂点捕食者の回復が沿岸の損傷の減速に役立つ仕組み

Nature 626, 7997

カニを食べるラッコ(<i>Enhydra lutris</i>)。
カニを食べるラッコ(Enhydra lutris)。 | 拡大する

Kiliii Yüyan

表紙は、米国のカリフォルニア沿岸に生息するラッコ(Enhydra lutris)である。この種は、頂点捕食者であるが、かつて狩猟により絶滅寸前まで追いやられた。今回B Hughsたちは、カリフォルニア州の塩性湿地におけるラッコの個体数の回復によって、この地域の塩性湿地の衰退が減速したことを示している。頂点捕食者の回復が植生生態系に連鎖的な影響をもたらすであろうとは思われていたが、この問題はまだ議論の余地がある。著者たちは、河口域であるエルクホーン湿地で数十年にわたるモニタリングを行い、湿地を傷つける穿孔性のカニをラッコが捕食するため、ラッコの個体数の増加とともに湿地周縁部の侵食が減速していることを見いだした。こうした結果は、頂点捕食者の回復が、脆弱な沿岸生態系に好ましい影響をもたらす可能性があることを示唆している。

2024年2月1日号の Nature ハイライト

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