Nature ハイライト
Cover Story:しっぽの物語:ヒトと類人猿における尾の喪失を遺伝因子が助けた仕組み
Nature 626, 8001
類人猿とヒトにつながる進化系統に沿って生じた最も顕著な変化の1つが尾の喪失であり、類人猿とヒトはこの特徴によって、表紙に示すボンネットマカク(Macaca radiata)などのサル類と区別されている。しかし、この変化の根底にある遺伝的特徴はまだよく分かっていない。今回B Xia、J Boeke、I Yanaiたちは、単一のトランスポゾンが類人猿とヒトにおける尾の喪失に寄与した可能性があることを明らかにしている。彼らは、尾の発生に重要な遺伝子であるTBXTの非コード部分へのトランスポゾンの挿入が、この遺伝子の選択的スプライシングにつながることを見いだした。DNAがRNAに転写される際に、このスプライシングによって遺伝子のタンパク質コード部分の一部が除去される。著者たちは、これが尾の喪失に寄与している可能性があると示している。
2024年2月29日号の Nature ハイライト
天文学:宇宙再電離は矮小銀河によってもたらされた
惑星科学:WASP-39bの大気中にある二酸化硫黄と水
メタマテリアル:ナノメートルスケールで電流を光制御する
医用生体工学:心臓系の光刺激のためのシリコン電極システム
材料科学:金属の耐疲労性を大幅に向上させる3D印刷技術
化学:ステップ状表面の部位特異的な触媒活性
高分子化学:超分子ポリマー形成に伴う相分離とタクトイド形成
進化学:複合的な機構が協力を生む
社会学:視覚的コミュニケーションによるジェンダーバイアスの増幅
神経科学:ヒトは出生後のニューロン動員で環境を学ぶ
神経変性:TDP-43依存的な神経毒性経路が明らかに
発生生物学:マウスの発生過程の単一細胞タイムラプス
健康科学:SARS-CoV-2の持続感染に関する疫学研究
免疫学:骨髄の形質細胞の生存に必須のP2RX4シグナル伝達
神経免疫学:末梢免疫細胞はストレス状況下で脳機能や行動に影響を及ぼす
分子生物学:体細胞で自律性トランスポゾンを抑制する仕組み
分子生物学:新たなリボソーム冬眠因子が細菌で見つかる
構造生物学:RNアーゼRが仲介するリボソーム30S小サブユニット分解の機構
構造生物学:カルシウム感受性受容体のGタンパク質選択性