Nature ハイライト
Cover Story:危険にさらされている昆虫:環境の人為起源の変化が無脊椎動物を脅かしている
Nature 628, 8007
表紙は、オオヨコバイ(Cicadella viridis)の写真である。今週号では5報の論文によって、昆虫の個体群が現在直面している環境課題が調べられ、影響が過小評価されている可能性がある重要な要因として気候変動が浮上している。J Müllerたちは、27年分の昆虫の生物量データを解析して、気候変動に伴う異常気象が温帯の昆虫の生物量に影響を及ぼし得ることを明らかにしている。M Kazenelたちは、気候変動に起因する温暖化が米国のハナバチ類の多様性を脅かしている可能性を見いだしており、G Ghisbaiたちの論文では、人為起源の環境変化によってヨーロッパのマルハナバチに適した生息域が大きく減少すると予測されている。ヨーロッパにおけるマルハナバチに対する農薬の使用の悪影響を調べたC Nicholsonたちの論文からは、また別の人類による影響が浮き彫りになっている。そして、R van Klinkたちの論文では、もともと個体数が多かった種の減少がどのように昆虫の喪失を駆動し得るかが調べられている。
2024年4月11日号の Nature ハイライト
天文学:初期宇宙z ≈ 11で星を形成した大質量銀河
原子物理学:極低温多原子分子のコヒーレント制御
ナノスケール材料:リセット電流を劇的に低下させた相変化メモリー
太陽電池:ドーパントと添加剤の相乗効果によるモジュール特性向上
太陽電池:シアン酸イオンを用いた三重接合太陽電池
ナノスケール材料:金属テルル化物のナノシートの高速合成
超分子化学:ロタキサンを用いた小分子の放出
化学:ジラジカルを用いる準飽和ヘテロ環の合成
計測学:氷の融解がもたらすうるう秒への影響
考古学:中石器時代の人類の適応的な狩猟採集行動の証拠
ゲノミクス:デフォルトのゲノム状態は種により異なる
発生生物学:マイクロ流体工学に基づく新たな神経発生モデル
免疫学:胸腺T細胞寛容のためのAIREによる標的遺伝子の選択機構
免疫学:死細胞に出合ったマクロファージが処理業者に変身する仕組み
がん治療:T細胞がんに対する抗体–薬物複合体
医学研究:大腸がんニッチに存在する口腔内細菌株の特徴
分子生物学:転写と複製の干渉で生じるDNA損傷が命取り
がん遺伝学:一部が壊れた腫瘍抑制因子でも、生き残れば役に立つ
構造生物学:クライオ電子顕微鏡マップでの自動原子モデル構築