Nature ハイライト
Cover Story:島の歴史:ゲノム解析からラパ・ヌイの集団史が明らかに
Nature 633, 8029
表紙は、世界で最も孤立した居住地の1つであるラパ・ヌイ(イースター島としても知られる)にある、印象的なモアイ像である。ラパ・ヌイには少なくとも13世紀から人々が住んでいたことが分かっているが、その歴史の重要な側面については議論が続いている。具体的には、ラパヌイ人が「エコサイド(資源の過剰利用の結果として1600年代に自滅的に招いた集団の崩壊)」を引き起こしたのかどうか、また、ヨーロッパ人到来以前にラパヌイ人とアメリカ先住民の間に何らかの接触があったかどうかである。今回J Moreno-MayarとA Malaspinasたちは、これら2つの疑問に対する答えを提示している。研究チームが、1670〜1950年にラパ・ヌイに住んでいた15人のゲノムを分析した結果、17世紀のエコサイドを裏付ける証拠は見つからなかった。彼らは、そうではなく、この島の人口はこの時期には着実に増加していて、1722年のヨーロッパ人の到来、そして1860年代のペルー人による奴隷狩りによって初めて減少したと推測している。さらに研究チームは、ヨーロッパ人が到来するはるか前の1250〜1430年に、ラパヌイ人がアメリカ先住民と交配していた証拠も発見した。
2024年9月12日号の Nature ハイライト
天文学:初期宇宙に存在した高輝度銀河
天文学:進化した巨星表面の対流の時間スケール
惑星科学:チャンドラヤーン3号による月の元素存在量測定
量子シミュレーション:量子多体相互作用を自在に制御する
量子シミュレーション:二次元ボースグラスの実現
材料科学:分子添加剤によるペロブスカイト材料の電荷キャリア濃度の調節
ケモインフォマティクス:学習アプローチとモデル化の併用で得られる新たな化学的理解
太陽エネルギー:ペロブスカイトイド–ペロブスカイト・ヘテロ構造による安定性向上
生物地球化学:大酸化イベントの前に出現した窒素の酸化的経路
微生物学:メタゲノミクスを応用につなげる
遺伝学:トウモロコシの栽培化と多様化に役立った遺伝子ドライブ
神経科学:想定外のシーンが脳の中に起こすこと
免疫学:ヒトでのTNF機能喪失変異の臨床表現型
免疫学:好中球細胞外トラップを介した好中球活性の調節機構
腫瘍免疫学:がんの免疫回避にスフィンゴ脂質が果たす役割
構造生物学:シャペロニン複合体によるタンパク質のin situ折りたたみを見る
構造生物学:Cas14の活性と構造
構造生物学:ノルエピネフリン輸送体の構造から得られた作用機構の手掛かり