Nature ハイライト

Cover Story:捕食目的の乗っ取り:ショウジョウバエの成体を宿主とする捕食寄生バチ

Nature 633, 8031

ショウジョウバエ(Drosophila)は研究に欠かせない存在で、極めて広範に調べられているモデル生物であることから、その生活環に関して新たな驚きはほとんどないと推測するのは容易だろう。ところが今回、L Mooreたちは、さまざまな種のショウジョウバエの成虫を宿主として標的とする寄生バチが存在するという意外な新事実について報告している。約200種類の寄生バチが、ショウジョウバエの幼虫や蛹のような脆弱な段階で卵を産み付けて攻撃することは知られていたが、これまで成虫を宿主とする種は確認されていなかった。著者たちは、米国ミシシッピ州で野生のショウジョウバエが線虫に感染していないかを検査していた際に、新種の寄生バチSyntretus perlmaniを偶然発見した。このハチは、ハラボソコマユバチ亜科(Euphorinae)に属することが確認された。この亜科の他の種は、甲虫、アリ、バッタなどの成虫を標的にすることが知られていたが、成虫のハエを標的とすることが確認されたのはこの種が初めてである。表紙は、S. perlmani(右)とその宿主であるショウジョウバエ(ここではDrosophila affinis)である。

2024年9月26日号の Nature ハイライト

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