Nature ハイライト

材料:複合生体材料のナノスケールトモグラフィー

Nature 469, 7329

歯や骨などの多くの生体鉱物化組織は、無機–有機ハイブリッド材料であり、その性質は複雑な内部構造によって決まる。L GordonとD Joesterは、そのような生体材料や類似合成材料の内部構造と化学的複雑さを、パルスレーザー原子プローブトモグラフィー(APT)を使って解明する方法を示している。APTは、冶金や半導体を研究対象とする分野で確立された技術である。今回モデルとして使われたのは、ヒザラガイの一種である海産軟体動物(Eastern beaded chiton)の歯で、得られた高分解能3D化学マップから、歯の中の有機繊維の1本1本が明らかになっている。これらの有機繊維は組成が異なっており、そのため、有機マトリックス相と無機鉱物相の間の相互作用の制御における機能的役割もおそらく異なると考えられる。この分野でのAPTの使用によって、天然材料の性質が明らかになるだけでなく、医療用や産業用の生体模倣複合材料の設計に役立つデータが得られると考えられる。

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