Nature ハイライト
進化:DNAを失ってヒトらしさを手に入れる
Nature 471, 7337
ヒトゲノムのコンピューター解析により、チンパンジーなどの他の動物では高度に保存されている塩基配列が除去されるというヒト特異的なゲノム欠失が、500か所以上発見された。ゲノムのこのような変化は、ヒト固有の生物学的特性に寄与してきた可能性が高い。欠失した塩基配列の大半は、ヒトゲノムの非コード領域にある。ヒトでの欠失は、神経発生やステロイドホルモンシグナル伝達に関与する遺伝子の近傍に多い。このことは、重要な発生制御遺伝子近傍の調節領域の変化がヒトの進化に重要な役割を担ってきたのではないかという、従来の考え方と一致する。ヒト特異的な欠失の具体例としては、陰茎の解剖学的構造に影響する欠失や、脳の大きさに関係する欠失などが挙げられる。
2011年3月10日号の Nature ハイライト
がん:B細胞リンパ腫でのCREBBPとEP300の突然変異
物理:量子レベルでのリンク
物理:長寿命の量子状態
気候:エルニーニョの今と昔
地球:2つの過程で起こるマグマの再混合
進化:DNAを失ってヒトらしさを手に入れる
医学:グルテン不耐症の発症機序
医学:不整脈の新規モデル
細胞:DNAリガーゼIIIのミトコンドリアでの役割