Nature ハイライト
Cover Story:神経ネットワークを解きほぐす:電子顕微鏡によって明らかになった視覚神経回路の三次元ナノスケール構造
Nature 471, 7337
神経回路が行う機能的計算の基盤は接続性だが、ニューロン間の配線の複雑な構造を個々の細胞の機能と結びつけるのが非常に難しいことはよく知られている。今回2つの研究グループが、機能的画像化法を、これまでにないスケールでの三次元連続電子顕微鏡による再構築と組み合わせて、マウスの視覚系で単一細胞レベルの接続の詳細を明らかにした。C Reidの研究グループに属するD Bockたちは、一次視覚野の接続性を調べて、抑制性ニューロンがさまざまに機能の異なる興奮性ニューロンからの入力を受け取ることを見いだした(表紙では、異なる色の球とそれを結ぶ糸で表されている)。これは、マウス皮質の最近の生理学的研究から得られた予測と一致している。K Briggman、M HelmstaedterおよびW Denkは、方向選択にかかわる網膜神経節細胞とスターバーストアマクリン細胞の樹状突起の選択する方向性が逆の場合、この2つの間に形成されるシナプスの数が多くなっていることを明らかにしている。このことは、網膜神経節細胞の方向選択性がアマクリン細胞との接続の非対称性から生じることを示唆している(Articles pp.177, 183, N&V p.170)。
2011年3月10日号の Nature ハイライト
がん:B細胞リンパ腫でのCREBBPとEP300の突然変異
物理:量子レベルでのリンク
物理:長寿命の量子状態
気候:エルニーニョの今と昔
地球:2つの過程で起こるマグマの再混合
進化:DNAを失ってヒトらしさを手に入れる
医学:グルテン不耐症の発症機序
医学:不整脈の新規モデル
細胞:DNAリガーゼIIIのミトコンドリアでの役割