Nature ハイライト
Cover Story:おまえの顔がもっとよく見えるようにね…:カンブリア紀の海にいた最上位捕食者のすばらしい眼
Nature 480, 7376
長さ1 mほどになる遊泳性の無脊椎動物「アノマロカリス」は、5億年以上前のカンブリア紀の海洋における最上位捕食者であった。この生物のものとされるハエにあるような複眼が最近発見されたことで、これが節足動物(昆虫や甲殻類、三葉虫のように関節でつながった肢を持つ動物)に近縁であるという説が確認され、硬化した外骨格が現れる前に複眼が進化したことが示された。南オーストラリアで発見された保存状態のきわめて良好な化石は、アノマロカリスがきわめて優れた視覚を持っていたことを示している。その複眼は、史上最も大きく鋭敏な部類のもので、1つが長さ3 cmにもなり、1万6,000個を超えるレンズを備えていた。カンブリア紀に視力の高い捕食者が存在したことは、当時進行していた捕食者と被食者との「軍拡競争」を促進したと考えられる。(Letter p.237)
2011年12月8日号の Nature ハイライト
遺伝:血小板産生にかかわる遺伝子の探索と解析
細胞:時計に従う幹細胞
宇宙:ブラックホールの大きさの新記録
化学:医薬剤候補の光誘起トリフルオロメチル化
気候:更新世の退氷の速さを決める仕組み
地球:断層をより強くする化学結合
遺伝:遺伝子における予測可能性
細胞:Piwiタンパク質によるトランスポゾンの抑制
生化学:隠れたタンパク質を見るための新規NMR法