【天文学】冥王星の大気温度が低い原因は大気中の「もや」
Nature
冥王星の大気温度が低いことは大気中の「もや」によって説明できることを報告する論文が、今週に掲載される。
冥王星の大気温度は、これまで考えられていたよりもかなり低いことが、最近の冥王星の観測結果によって明らかになり、未知の冷却プロセスの存在が示唆されている。冷却材として考えられるものの1つが水蒸気だが、この場合の水蒸気は、平衡状態からの逸脱が通常より数桁分多くなっている必要がある。
今回、Xi Zhangたちの研究グループは、モデル研究を行い、冥王星の大気温度がガス分子ではなく、炭化水素の「もや」粒子によって制御されており、これが太陽系内で独特な機構であることを明らかにしている。また、もや粒子の太陽加熱速度と熱冷却速度は、他の惑星の大気中によく含まれているガス分子よりもはるかに高いことも明らかになった。
もや粒子は、冥王星の地表から高度700 kmまでの大気の放射平衡に大きな影響を及ぼしており、高度700 km超の大気は、熱伝導によって等温に保たれている。もやは、冥王星の放射エネルギー平衡(惑星に入射する太陽エネルギーと惑星から放射されるエネルギーのバランス)に影響するため、Zhangたちは、冥王星が、中赤外波長でこれまで予測されていた以上に明るいと予測している。この予測は、2019年に打ち上げられるジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡によって検証可能だと考えられている。
Atmospheric hazes can explain Pluto’s cool temperature, reports a paper published in this week’s Nature.
Recent observations show that Pluto’s temperature is much cooler than previously thought, suggesting the existence of unknown cooling processes. One possible coolant is water vapour, although this would require the vapour to be many orders of magnitude out of equilibrium.
Xi Zhang and colleagues find, through modelling, that Pluto’s atmospheric temperature is regulated by hydrocarbon haze particles rather than gas molecules, making it unique in the Solar System. They observe that haze particles have much larger solar heating and thermal cooling rates than gas molecules, which are commonly found in the atmospheres of other planets.
Haze particles dominate the radiative balance of Pluto’s atmosphere from the ground to an altitude of 700 kilometres, above which heat conduction maintains an isothermal atmosphere. The haze affects Pluto’s radiative energy equilibrium - the balance between incoming solar energy and the energy emitted by the planet - leading the authors to predict that Pluto is brighter at mid-infrared wavelengths than currently predicted. This prediction should be testable next year with the launch of the James Webb Space Telescope.
doi: 10.1038/nature24465
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