Research press release

【天文学】天の川銀河の中心に多数のブラックホール

Nature

天の川銀河の中心にブラックホールの集団が存在していることを示唆する観測結果を報告する論文が、今週掲載される。

大型の銀河の中心近くにある超大質量ブラックホールは、恒星質量ブラックホールのクラスターに取り囲まれていると予測されている。しかし、地球に最も近い超大質量ブラックホールである「いて座A*(SgrA*)」が位置する銀河系中心の探索では、この予測は裏付けられていない。

今回、Charles Haileyたちの研究グループは、チャンドラX線観測衛星に搭載された宇宙望遠鏡で得たデータのアーカイブを使って、Sgr A*から1パーセク(約3.3光年)以内に低質量X線連星系(ブラックホールなどの天体によって構成される連星系)を発見したことを報告している。Haileyたちは、これらのX線連星系の特性と空間分布から、天の川銀河の中心から1パーセク以内に連星系に関連する数百個のブラックホールが存在し、より多くの孤立したブラックホールも存在していることが示唆されたとしている。

Observations suggesting the presence of a population of black holes at the centre of the Milky Way are reported in this week’s Nature.

It has been predicted that the supermassive black holes near the centres of large galaxies are surrounded by clusters of stellar-mass black holes. However, previous searches of the Galactic Centre, where the nearest supermassive black hole Sagittarius A* (Sgr A*) resides, have been unsuccessful.

Using archival data from the Chandra X-ray Observatory telescope, Charles Hailey and colleagues report the discovery of a dozen inactive low-mass X-ray binary systems - binary star systems in which one of the components is a black hole - within a parsec (approximately 3.3 light years) of Sgr A*. The authors suggest that the properties and spatial distribution of these X-ray binary systems point to a total population of hundreds of black holes associated with binary systems within a parsec of the centre, and many more isolated black holes.

doi: 10.1038/nature25029

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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