Research press release

持続可能性:持続可能な未来のために自然の価値をもっと適切に評価する必要がある

Nature

人々が自然の価値を評価する仕方を改善し、そうした自然の価値を政策決定に取り入れる仕組みを改良することが、持続可能性を高めた未来の実現に必要な転換的変化を支援する上で不可欠であることを明らかにした論文が、Natureに掲載される。今回の研究では、合計5万点以上の科学出版物、政策文書、先住民の知識源や地域の知識源の分析が行われ、自然の恩恵の多様性と自然の価値の評価のされ方について解明が進んだ。

人間は自然から経済的な恩恵(天然資源を利用した生活の維持)、娯楽的な恩恵と生命維持的な恩恵(生物多様性の維持や気候の安定化など)、そして精神的な恩恵まで、さまざまな恩恵を受けており、人々が認識する自然の価値は多岐にわたる。今回、Unai Pascualらは、人々が自然の価値をどのように評価しているのか、そして、そうした自然の価値の評価結果が政策決定にどのように反映されているのかを評価した。この論文は、2022年7月の生物多様性と生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)による価値評価に基づいている。

自然のさまざまな恩恵の中で、市場に関連した恩恵は、政策における主な考慮事項となる傾向がある。Pascualたちは、広範囲にわたる自然の恩恵が過小評価されていることが、生物多様性の減少と気候変動といった危機の根底にあるという見解を示している。また、Pascualたちは、もっと公正な(人間と自然を公平に扱う)決定やバランスのとれた決定がなされるようにするためには、先住民と地域社会の考え方や価値観をもっと適切に評価して、その評価結果を政策決定に取り入れることが必要だと指摘している。

doi: 10.1038/s41586-023-06406-9

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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