古生物学:三日月刀のような鉤爪を持つ三畳紀の爬虫類種
Nature
新たに発見された古代爬虫類ラゲルペトン科(翼竜類の祖先)の新属新種について報告する論文が、今週、Natureに掲載される。この化石は、ブラジルの三畳紀層から出土したもので、約2億3000万年前のものとされ、くちばしと突出した鉤爪のあることが判明した。今回の発見は、ラゲルペトン科動物の多様性を明確に示している。
中期三畳紀から後期三畳紀の初期(約2億3500万前)に進化した恐竜と翼竜類は、ジュラ紀(およそ2億~1億4550万年前)と白亜紀(およそ1億4550万~6550万年前)に、それぞれ陸と空で最も数多く生息するようになった。最近の発見により、恐竜と翼竜類の祖先に関する知識が増えてきたが、この時期の化石記録は依然として相対的に少ない。これまでの研究で、ラゲルペトン科動物は、空を飛ばない動物分類群の中で、翼竜類に最も近縁の動物であることが知られている。
今回、Rodrigo Müllerらは、ラゲルペトン科動物の保存状態の良い部分骨格について報告している。Müllerらは、この動物種をVenetoraptor gassenaeと命名した。Venetoraptorには、猛禽類のようなくちばし、三日月刀のような鉤爪が付いた大きな手など、珍しい特徴があった。これらの特徴は、この動物が生態学的ニッチに高度に特化していたことを示している。Müllerらは、この鉤爪は、獲物を処理したり木によじ登ったりするときに役立ったという考えを示している。また、くちばしには、摂餌以外にも、性的誇示、発声、体温調節など数多くの機能があった可能性がある。ただし、Müllerらは、Venetoraptorのくちばしの役割と進化上の利点は分かっていないと述べている。
今回の知見は、同時に出土した他の化石の分析結果と考え合わせると、ラゲルペトン科動物の形態的多様性が、三畳紀の翼竜類と同程度で、三畳紀の恐竜よりも高かったことを示している。これは、形態的多様性が、恐竜と翼竜類の祖先において既に発達し始めており、恐竜と翼竜類が出現してから始まったのではないことを暗示している。
doi: 10.1038/s41586-023-06359-z
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