Research press release

気候変動:カリフォルニア州の延焼規模が極端に大きな山火事のリスクは温暖化によって増大する

Nature

米国カリフォルニア州では、人為起源の気候温暖化のために延焼規模が極端に大きな山火事のリスクが産業革命以前と比べて平均25%増加したことが明らかになった。このことを報告する論文が、Natureに掲載される。

気温の変動と、気温が乾燥度に及ぼす影響は、山火事の活動に強く関連する傾向がある。カリフォルニア州内の極端な山火事に近年生じた変化には、人為起源の気候温暖化が寄与していると考えられているが、これらの山火事において人為起源の温暖化が果たす役割を定量化することは困難だった。

今回、Patrick Brownらは、機械学習を用いて、カリフォルニア州における気温、乾燥度、および山火事の1日の延焼規模が極端に大きくなる(1日に約40平方キロメートル以上延焼する)リスクの関係を定量化した。ここでは、風、降水量、絶対湿度などの条件を一定とし、その背景となる気温を変動させた。そして、2003~2020年に発生した過去の山火事について、気温と乾燥度の条件を変えた場合にどのように変化するかを推定した。その結果、人為起源の温暖化によって、1日の延焼規模が極端に大きな山火事の推定発生頻度が、産業革命前と比較して平均25%増加したことが明らかになった。ただし、発生頻度が変化しなかった特定の山火事が一部存在し、発生頻度が400%以上増加した山火事もあった。次に、過去に発生したこれらの山火事の挙動が、推定される21世紀末の条件下でどのように変化するかが検討された。その結果、1日の延焼規模が極端に大きな山火事の発生頻度は、産業革命前の条件と比較して、低排出シナリオでは約59%増、高排出シナリオでは約172%増となった。

Brownらは、気温が、山火事の挙動に影響を与える数多くの変数の1つであるとともに、温室効果ガス濃度の上昇に最も密接に関連する変数でもあるという見解を示した上で、今回のモデルで一定としたいくつかの変数(降水量、風、絶対湿度など)が将来変化し、温暖化のために増大しているリスクをますます大きくする可能性があるため、今回得られた計算結果は、リスクの変化を控えめに推定したものという位置付けになる可能性があると述べている。

doi: 10.1038/s41586-023-06444-3

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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