考古学:最古の木造建築の証拠かもしれない
Nature
ザンビアのカランボフォールズで発見され、約47万6000年前のものと年代決定された木製の人工遺物は、建造物の構造部位に木材が使用されたことを示す初めての証拠である可能性がある。このことを報告する論文が、Natureに掲載される。この知見によって、アフリカで木工が行われた時代の範囲が広がり、初期のヒト族が木の幹を整形して大型の構造物を組み立てていたという技術力に関する理解が深まる可能性がある。
旧石器時代の木製人工遺物は、よほど保存に恵まれた条件下にあったものでない限り、現代まで残らない。そのため、ヒト族が木材という基本的な原材料をいつから、どのように使用していたかや、更新世の人類が生活環境をどのように構築していたかといった点に関する情報は限られている。
今回、Lawrence Barhamらは、カランボ川流域の更新世遺跡(約47万6000年前のものと年代決定された)から古代の木製の構造物が発見されたことを報告している。ここには、木製の道具のコレクションと、人工的な切り込みによって十字に組まれた2本の丸太が含まれていた。上側の丸太は整形されており、両方の丸太から工具痕が見つかった。Barhamらは、この2本の丸太について、雨季のある氾濫原に建てられた住居のためのバルコニーのような構造物や通路や基礎部分に使用された可能性があるという考えを示している。
今回の知見は、道具を作っていたヒト族が生活環境を構築するための技術力に関する理解を深める可能性がある。Barhamらは、技術の歴史における木の使用を再検討すべきだと提案している。同時掲載のNews & Viewsでは、Annemieke Milksが、Barhamらの知見は「人類が自らの利益のために地球を構造的に改変し始めた時期」に光を当てるものだと指摘している。
doi: 10.1038/s41586-023-06557-9
「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。
注目のハイライト
メールマガジンリストの「Nature 関連誌今週のハイライト」にチェックをいれていただきますと、毎週最新のNature 関連誌のハイライトを皆様にお届けいたします。