Research press release

天文学:惑星を飲み込む恒星はどれだけあるか

Nature

91組の恒星のスペクトル分析によって、惑星を飲み込んだ可能性がある連星が、全体の約8%(12個に1個)に上ることが判明したと報告する論文が、Natureに掲載される。

恒星が惑星を飲み込むプロセス(惑星摂取)が起こると、その恒星の化学組成が変わることがある。こうした惑星の特徴を恒星において検出する方法として、同時に誕生した2つの恒星の元素組成を比較するという方法がある。これは、両者の母天体の分子雲コアに由来する組成が同じであるためだ。しかしこれまでの研究から、恒星の化学的特徴の違いを調べる研究には困難が伴うことが明らかになっている。

今回、Fan Liuらは、欧州宇宙機関(ESA)の宇宙望遠鏡ガイアを用いて、同時に誕生し、近く(10の6乗天文単位未満)に存在する91組の恒星を特定した。これらの恒星は、超大型望遠鏡(VLT)、マゼラン望遠鏡、ケック望遠鏡を使って得た21種類の元素のスペクトルデータの比較が行われ、91組の恒星の約8%で、一方の恒星に惑星摂取の証拠が見つかった。そして、このようにして観察された証拠は、惑星摂取のモデルと一致していた。

Liuらは、この惑星摂取が恒星系の一生のかなりの時期まで起こっていると考えられると述べている。これらの恒星の元素の濃度が比較的高いため、外部からの撹乱(例えば、氷の浮遊惑星や恒星の接近通過)によって、恒星系のバランスが崩れて惑星摂取が起こる可能性がある。Liuらは、恒星系が形成されてから最初の1億年間は惑星摂取が頻繁に起こる可能性が高いが、これほど早い時期に起こった惑星摂取の証拠は検出されないかもしれないと指摘している。

doi: 10.1038/s41586-024-07091-y

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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