Research press release

ソーシャルメディア:ツイッターの大量アカウント停止が誤情報の拡散に及ぼした影響

Nature

2021年1月6日に米国連邦議会議事堂で起きた暴動の後、ドナルド・トランプ前米国大統領と誤情報を不法配信した7万人のユーザーのツイッター(現在のX)アカウントが停止された結果、ツイッターでの誤情報の流布が減少したことを明らかにした論文が、Natureに掲載される。この知見は、ソーシャル・メディア・プラットフォームが誤情報の拡散を部分的に制御できる可能性を示唆している。

21世紀のソーシャル・メディア・プラットフォームは、コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしているが、誤情報を投稿したり拡散したりするための簡単な機構にもなり得る。ツイッターは、2021年1月6日に米国連邦議会議事堂で発生した暴動を受けて、ドナルド・トランプ前大統領を含む7万人について、誤情報を拡散していると判断してアカウントの停止を決定した。

今回、David Lazerらは、2020年の米国大統領選挙期間中に1つ以上のURLで投稿した米国在住のツイッターユーザー59万9686人のパネルを分析し、そのうちの1361人(約0.25%)が2021年1月8日から12日の間にアカウント停止されたことを明らかにした。これらのユーザーは、ツイッター上のコンテンツの4.35%と、分析対象のツイッターユーザーが共有した全ての誤情報の24.13%に関与していた。また、アカウント停止されなかったユーザーのうちの26.4%が、停止されたアカウントの1つをフォローしていた。

次に、Lazerらは、2020年6月から2021年1月の間に投稿された誤情報のURLを分析し、今回の研究で分析対象となったツイッターユーザーの一部のアカウントが停止された後は、ツイートが1日当たり平均103件減少したことを明らかにした。また、Lazerらは、停止されたアカウントをフォローしていたユーザーが、大量のアカウント停止後に、リツイートを通じて誤情報を共有することが少なくなる傾向を示したと指摘し、ツイッター上での誤情報の減少は、ツイッターによるアカウント停止があった結果と考えられるという見解を示している。

今回の研究は、ソーシャル・メディア・プラットフォームが誤情報の拡散を減らす仕組みの可能性を示している。しかしLazerらは、これらのデータは単一の国と時期に由来するものであるため、他の事象に一般化できるかどうかは分からないと指摘している。
 

doi: 10.1038/s41586-024-07524-8

「Nature 関連誌注目のハイライト」は、ネイチャー広報部門が報道関係者向けに作成したリリースを翻訳したものです。より正確かつ詳細な情報が必要な場合には、必ず原著論文をご覧ください。

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