Volume 633 Number 8031

今週のハイライト

目次

Editorials

大学とは未来への投資であり、英国政府は研究を公共投資として扱うならば、深刻な財政危機に直面している高等教育機関にも手を差し伸べるべきだ。

Universities are not just businesses, but an investment in future generations p.739

doi: 10.1038/d41586-024-03109-7

インターネットのガバナンスを見直すべき時がきており、この議論には、技術基準を作った計算機科学者たちを含める必要がある。

How to stop a looming ‘splinternet’ p.740

doi: 10.1038/d41586-024-03110-0

News

CERNが、標準模型は依然として有効であることを示す、Wボソンの質量の精密な測定結果を。

‘The standard model is not dead’: ultra-precise particle measurement thrills physicists p.745

doi: 10.1038/d41586-024-03042-9

CERNのチームが、トップクォーク対においてエンタングルメントを初めて観測。

Quantum feat: physicists observe entangled quarks for first time p.746

doi: 10.1038/d41586-024-02973-7

薬剤耐性菌による感染症によって、2050年までに約4000万人が死亡するとの予測結果が。

40 million deaths by 2050: toll of drug-resistant infections to rise by 70% p.747

doi: 10.1038/d41586-024-03033-w

タンパク質構造予測AIは、ウイルスの進化の系統樹を再構築する上でも威力を発揮。

Where did viruses come from? AlphaFold and other AIs are finding answers p.748

doi: 10.1038/d41586-024-02970-w

気候変動が原因となって、ヨーロッパで、ウエストナイル熱、デング熱などの蚊媒介感染症が急増を。

Mosquito-borne diseases are surging in Europe — how worried are scientists? p.749

doi: 10.1038/d41586-024-03031-y

新しい抗肥満薬であるGLP-1受容体作動薬は、子どもにも効果があることが臨床試験で示されたが、長期的な影響は不明であり、その使用には議論が。

Should young kids take the new anti-obesity drugs? What the research says p.750

doi: 10.1038/d41586-024-02983-5

プレッシャーに負けてしまう理由が、運動を制御する脳領域に関連していることが明らかに。

Why do we crumble under pressure? Science has the answer p.751

doi: 10.1038/d41586-024-02956-8

摂食行動に関わるニューロンの周囲の細胞外マトリックスの異常蓄積が、2型糖尿病や肥満の悪化の要因に。

Brain goop that traps hunger neurons drives obesity p.752

doi: 10.1038/d41586-024-03025-w

News Features

細胞タイプとは何か

What is a cell type, really? The quest to categorize life’s myriad forms p.754

科学者たちは、数々の細胞がどのように異なっているかについての知見を積み上げてきてはいるが、それらを明確に分類するのは容易ではない。

doi: 10.1038/d41586-024-03073-2

抗肥満薬の守備範囲

Why do obesity drugs seem to treat so many other ailments? p.758

最新の抗肥満薬は、代謝疾患のみならず、嗜癖からパーキンソン病まで幅広い効果を持つ可能性があり、その機構についての研究が進んでいる。

doi: 10.1038/d41586-024-03074-1

News & Views

代謝:肥満は空腹ニューロンを包むネットワークによって引き起こされる

Obesity is driven by a build-up of molecular mesh around hunger neurons p.771

細胞外マトリックスと呼ばれるタンパク質と糖からなるネットワークが蓄積すると、空腹を調整するニューロンにインスリンが届かなくなり、正常な食餌摂取と代謝が阻害され、肥満につながることが、今回明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-024-02325-5

化学生物学:誤配置されたタンパク質を再配置する小分子

Small molecules help misplaced proteins hitchhike around cells p.773

多くの疾患の原因は、細胞内でのタンパク質の誤配置である。今回、この問題に対する潜在的な解決策として、誤配置されたタンパク質を他のタンパク質に乗せて、正しい場所へと戻るのを助ける小分子が開発された。

doi: 10.1038/d41586-024-02802-x

微生物学:腸内微生物が有害な細菌の「昼食」を奪う

Gut microbes fend off harmful bacteria by depriving them of nutrients p.774

腸内に通常生息している微生物は、細菌感染を阻止するのに役立つことができる。今回、ヒトの腸内に生息するある細菌群が、病原性細菌が必要とする栄養素を消費できることが明らかになった。

doi: 10.1038/d41586-024-02803-w

天文学:最も古く最も冷たい:系外惑星の初の直接撮像

Oldest and coldest: JWST claims a first for exoplanet imaging p.776

今回、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)によって系外惑星インディアン座イプシロン星Abが直接観測され、系外惑星撮像の新たな扉が開かれた。この惑星の存在は以前から推測されていたものの、年齢が古くて低温であることから、これまで確認するのは難しかった。

doi: 10.1038/d41586-024-02804-9

腫瘍生物学:脂質のリサイクルが脳腫瘍の成長を助ける

Lipid recycling by macrophage cells drives the growth of brain cancer p.777

脳腫瘍では、免疫細胞であるマクロファージがニューロンのミエリン鞘から脂質の残骸を除去している。脂質を含んだこうしたマクロファージは免疫抑制を引き起こし、腫瘍に脂質を供給して、がんの成長が促進されることが、今回示された。

doi: 10.1038/d41586-024-02868-7

Perspective

医用生体工学:人間–ロボット相互作用のヒューマン・イン・ザ・ループ最適化について

On human-in-the-loop optimization of human–robot interaction p.779

doi: 10.1038/s41586-024-07697-2

Articles

天文学:JWSTによって中赤外波長で撮像された温暖なスーパージュピター

A temperate super-Jupiter imaged with JWST in the mid-infrared p.789

doi: 10.1038/s41586-024-07837-8

原子物理学:チャープレーザーパルス列により超低速度まで冷却されたポジトロニウム

Cooling positronium to ultralow velocities with a chirped laser pulse train p.793

doi: 10.1038/s41586-024-07912-0

材料科学:競合する強的秩序からの超高電気機械応答

Ultrahigh electromechanical response from competing ferroic orders p.798

doi: 10.1038/s41586-024-07917-9

電子デバイス:軸索様の信号能動伝達

Axon-like active signal transmission p.804

doi: 10.1038/s41586-024-07921-z

エネルギーハーベスティング:コアレッセントエネルギー変換体に基づくマイクロ原子力電池

Micronuclear battery based on a coalescent energy transducer p.811

doi: 10.1038/s41586-024-07933-9

材料科学:酸化物から持続可能なバルク合金へのワンステップ製造

One step from oxides to sustainable bulk alloys p.816

doi: 10.1038/s41586-024-07932-w

生物地球化学:海洋のトワイライトゾーンにおける微生物の鉄制限

Microbial iron limitation in the ocean’s twilight zone p.823

doi: 10.1038/s41586-024-07905-z

気候科学:山火事のサイズによる火事後の地表温暖化の増幅

Forest fire size amplifies postfire land surface warming p.828

doi: 10.1038/s41586-024-07918-8

生物地球化学:2023年のカナダの山火事による炭素排出

Carbon emissions from the 2023 Canadian wildfires p.835

doi: 10.1038/s41586-024-07878-z

昆虫学:ハエ成虫への捕食寄生者としては初めての、ショウジョウバエ属を宿主とする新種の寄生バチ

Drosophila are hosts to the first described parasitoid wasp of adult flies p.840

doi: 10.1038/s41586-024-07919-7

ゲノミクス:パンコムギDゲノムの起源と進化

Origin and evolution of the bread wheat D genome p.848

doi: 10.1038/s41586-024-07808-z

神経科学:オリゴデンドロサイトとミエリンは視覚野でのニューロン可塑性を制限する

Oligodendrocytes and myelin limit neuronal plasticity in visual cortex p.856

doi: 10.1038/s41586-024-07853-8

神経科学:前頭前皮質と外側嗅内皮質のニューロンは相互依存的に対象物–結果のルールを学習する

Prefrontal and lateral entorhinal neurons co-dependently learn item–outcome rules p.864

doi: 10.1038/s41586-024-07868-1

植物科学:2種類のチャネルロドプシンを利用して植物のシグナル処理を光遺伝学的に調べる

Probing plant signal processing optogenetically by two channelrhodopsins p.872

doi: 10.1038/s41586-024-07884-1

微生物学:共生細菌コンソーシアムは生態学的制御により腸内細菌科細菌を除去する

Commensal consortia decolonize Enterobacteriaceae via ecological control p.878

doi: 10.1038/s41586-024-07960-6

発生生物学:自己組織化された組織力学が胚の調節の基盤となっている

Self-organized tissue mechanics underlie embryonic regulation p.887

doi: 10.1038/s41586-024-07934-8

幹細胞:短期間の絶食後の再摂食はポリアミンを介して腸の幹細胞性を亢進する

Short-term post-fast refeeding enhances intestinal stemness via polyamines p.895

doi: 10.1038/s41586-024-07840-z

免疫学:フィブリンはCOVID-19において血栓性炎症と神経病理を駆動する

Fibrin drives thromboinflammation and neuropathology in COVID-19 p.905

doi: 10.1038/s41586-024-07873-4

代謝:視床下部の病原性細胞外マトリックスが代謝性疾患を促進する

Pathogenic hypothalamic extracellular matrix promotes metabolic disease p.914

doi: 10.1038/s41586-024-07922-y

がん:ミトコンドリア複合体Iは腎臓がんの転移を促進する

Mitochondrial complex I promotes kidney cancer metastasis p.923

doi: 10.1038/s41586-024-07812-3

細胞生物学:CDK5–サイクリンB1は有糸分裂の忠実度を調節する

CDK5–cyclin B1 regulates mitotic fidelity p.932

doi: 10.1038/s41586-024-07888-x

化学生物学:タンパク質輸送の共役を介した標的タンパク質の再局在化

Targeted protein relocalization via protein transport coupling p.941

doi: 10.1038/s41586-024-07950-8

構造生物学:高親和性IgE受容体であるFcεRI複合体についての構造的考察

Structural insights into the high-affinity IgE receptor FcεRI complex p.952

doi: 10.1038/s41586-024-07864-5

構造生物学:ヒトXPR1の構造から明らかになったリン酸排出機構

Human XPR1 structures reveal phosphate export mechanism p.960

doi: 10.1038/s41586-024-07852-9

「Journal home」に戻る

プライバシーマーク制度