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RNA―ペプチドワールドの可能性
太古の地球上では、タンパク質を合成する生物学的装置はどのようにして単純な化学物質から進化したのだろうか。今回、修飾されたRNAヌクレオチドが段階的なペプチド合成の誘導に果たす興味深い役割が、実験によって示唆された。
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引き伸ばされた皮膚細胞はDNAを複製せずに分裂する
ゼブラフィッシュ幼生の解析によって、皮膚の上皮細胞がDNAを複製せずに、張力に駆動されて分裂することが明らかになった。これによって細胞は急速に拡大し、急成長する体を覆うことができる。
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若い脳脊髄液によって記憶想起が回復
若齢マウスの脳脊髄液を老齢マウスの脳へ注入すると、ニューロンを絶縁する、脂質に富んだミエリンの産生が引き起こされることで、老齢マウスの記憶の想起が回復した。
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誓約の履行で2℃未満の温暖化抑制は可能
COP26での気候に関する各国のコミットメント(誓約)を分析した結果、そうしたコミットメントが履行されれば、2100年までの地球温暖化を2℃未満とすることができる可能性が示された。しかし、それには短期的な政策による裏付けが前提となる。
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遺伝子抑制の新たな階層の発見
rixosome(リキソソーム)と呼ばれるタンパク質複合体が、遺伝子発現後に残っているRNA転写産物の分解に役立つことが分かった。この発見は、種によって異なる、rixosomeのクロマチン調節での役割を示している。
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プラスチックのリサイクルに最適な酵素
ポリエチレンテレフタレート(PET)廃棄物は食品包装に適した材料に再生可能だが、現在そうしたリサイクルは飲料用のPETボトルなどに限定されている。今回、リサイクル原料の選択肢を大きく広げる酵素が、機械学習を用いて開発された。
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COVID罹患後の脳の変化が画像で判明
SARS-CoV-2への感染前後の画像検査により、感染後の脳には明らかな変化が認められることが分かった。大規模な脳画像追跡研究には高い水準が要求されるが、この研究はその模範を示している。
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変異時計の進行は種によって異なる
細胞は一生にわたり変異を獲得する。今回、寿命が長い動物は寿命が短い動物よりも ゆっくりと変異を獲得していることが明らかになった。これによって、寿命が長くなってもがんリスクが上昇しない理由を説明できる可能性が示された。
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有機合成反応の課題を電気で解決
有機合成では、炭素–炭素結合の形成反応に遷移金属触媒を用いることが多い。今回、遷移金属触媒を一切必要としない巧妙な電気化学的手法が開発され、これまで困難だった反応の実現に向けて、道が開かれた。
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スマートセンサーを日常生活に織り込む
感度と柔軟性を兼ね備えたハイブリッド設計によって、布地に編み込むことができる単繊維状の音響センサーが作られた。将来、健康や体力を管理するデバイスはウエアラブルになり、おそらく埋め込み可能にもなると思われる。
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遺伝子調節の神託
生物学研究の長年の目標は、DNA塩基配列から遺伝子発現を予測できるようになることだ。人工知能の1つのタイプであるニューラルネットワークを、ハイスループット実験と組み合わせることで、この目標に一歩近づいた。
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免疫細胞はがん細胞の遺伝暗号の解読を変化させる
がん細胞では、免疫細胞によってトリプトファン不足が引き起こされると、トリプトファンがフェニルアラニンに置換されたタンパク質が産生される。この知見から、遺伝暗号を解読する際の予想外の動態が明らかになった。
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全ての生物はメタンを作るのかもしれない
酵素を使ってメタンを生成できる細菌が存在することは、教科書にも書かれている。今回、活発に代謝を行う全ての細胞で、酵素に依存しない別の方式によってメタンが生産されているという証拠が示された。
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原子干渉計で地下のトンネルを検出
超低温の原子を使った量子センサーで重力の変化を感知し、都市の道路下の地下トンネルを検出できた。この研究結果について、量子センシングと地球物理学の観点から3人の研究者が解説する。
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最強磁場中で磁気単極子を探す
今回、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)での鉛イオン同士の衝突によって、これまで宇宙で測定された中で最も強い磁場が生成され、単一の磁荷のみを持つエキゾチック粒子「磁気単極子」の探索が可能になった。
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1型糖尿病の原因となるT細胞サブセット
自己免疫疾患である1型糖尿病を引き起こす、特定のT細胞サブセットが突き止められた。これは自己免疫疾患の発症を理解する手掛かりになり、また、新しい治療法への道を示す可能性がある。
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世界の主要作物の接ぎ木問題が解決
接ぎ木は、園芸や研究で、異なる植物体の組織を接合するのに古くから利用されてきた。今回、この技術を単子葉類という植物群に拡張する方法が考案され、イネやコムギ、トウモロコシやバナナなどの主要作物でも接ぎ木ができるようになった。
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脳のニューロンは腸の炎症を再燃させる
神経系と免疫系は双方向に相互作用する。体内の炎症によって脳細胞が活性化され、後にその脳細胞が再び活性化されると、それが引き金となって炎症応答が再発する可能性があることが明らかになった。
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水滴と水蒸気を分離する設計による高温表面のスプレー冷却
高温表面に水を分散し、生じた蒸気に邪魔されずに表面を急速冷却する革新的な微細構造設計が報告された。この方法によって、より安全で効率的な発電が可能になるかもしれない。
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地球軌道の離心率が進化を方向付ける
進化史上、プランクトンのサイズの多様性には「パルス」があり、それが地球の公転軌道の真円度と密接に関連していることが、化石の分析によって明らかになった。果たして、公転軌道の変動が進化のリズムを決めるビートになっているのだろうか。