2014年7月号Volume 11 Number 7

長い低迷期を抜けた免疫療法

「免疫チェックポイント阻害剤」という新機軸の登場により、免疫療法が盛り返してきた。免疫チェックポイントタンパク質は免疫細胞の攻撃を制御する「ブレーキ」で、がん細胞はこれを悪用して免疫系から逃れている。この阻害剤の臨床試験で良好な結果が得られたことで、現在、この分野に研究者や企業が殺到しており、ある分析によれば、今後10年間で進行がん患者の60%に免疫療法が行われるようになり、市場規模は約3兆円に達すると予想されるほどだ。

Editorial

古くから使われてきた銅。今回Natureに、触媒反応とがん治療法での新たな役割を示唆する2編の論文が掲載された。

Top of page ⤴

News

疾患の定義が厳密になり分類が細分化したことで、米国や欧州ではオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)の指定申請が急増し、それが医薬品監督官庁の医療財源を圧迫し始めている。

Top of page ⤴

News Features

免疫系はがんと闘うための強力な武器となり得る。これを利用する免疫療法の世界に「免疫チェックポイント阻害剤」という新機軸が登場したことで、免疫療法が盛り返してきた。

Top of page ⤴

Japanese Author

ゲノム配列を高速で解読できる次世代シーケンサーが米国などの数社から製品化され、さまざまな基礎研究や応用分野で活発に使用されるようになってきた。この装置で具体的にどんなことが可能なのか、ゲノム解析技術の開発や整備に長年関わってきた東京大学の菅野純夫教授と、次世代シーケンサーを使った研究成果を次々と発表している京都大学の小川誠司教授に、医学や医療の分野を中心に話を聞いた。

Top of page ⤴

News & Views

Y染色体は、進化の初期に多数の遺伝子が喪失したものの、現存生物種のY染色体に残っている遺伝子は極めて安定していることが、さまざまな哺乳動物のY染色体塩基配列の比較から明らかになった。

小惑星の表面にある岩石もまた、年月の経過とともに風化によって崩壊し、やがては粉末状の破片へと変わっていく。この風化現象はこれまで、大小さまざまな流星体の衝突が原因だと考えられていたが、今回、室内実験とシミュレーションモデルを組み合わせた研究から、少なくとも小型の小惑星では、昼夜の温度変化が主な原因であることが分かった。

Top of page ⤴

News Scan

Top of page ⤴