2018年4月号Volume 15 Number 4

見て見ぬふりをされてきた病

極度の疲労感のために起き上がれなくなり、慢性的な機能不全の他、歩行や会話に困難を来すこともある筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)。原因は不明で、治療法はない。以前は「まれ」な病で、原因は「気分の問題」と考えられていたため、患者は現在も、誤った理解による偏見に苦しんでいる。米国はこの病の研究を強化するため、2017年に研究資金を増額することを発表した。

Editorial

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学術研究が社会に与えたインパクトの痕跡を追うことで、こうした「インパクト」を追求する研究者は手掛かりを得られるはずだ。このほど創刊されるNature関連誌3誌も役立つことだろう。

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News

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SF映画でよく見る「虚空に浮かぶ立体動画」が、粒子系とそれを走査するレーザーで実現した。この技術で映し出された物体は、あらゆる角度から見ることができ、実空間の固体物体と共存することができる。

木材を化学処理して一部の高分子を除去し、その後に圧縮すると、強度を10倍以上にできることが明らかになった。

軟骨魚類の一種であるガンギエイには、左右の腹鰭を器用に交互に動かし、まるで歩くようにして海底を進むものがいる。この鰭を詳しく調べると、哺乳類の歩行と同じ神経ネットワークで制御されていることが明らかになった。

米国立科学財団の報告書によると、各国の論文発表数の競争は激化しているものの、米国が世界の科学をリードしていることに変わりはないという。

遺伝的に同一の動物がいれば、ヒトの疾患モデルが改良される可能性がある。その一方で、ヒトのクローン作出についての懸念が高まっている。

Kudosは、研究者が論文をPRするのに役立つオンラインサービスを提供している。このサービスを利用することで、論文をより多くの人に読んでもらい、その影響力を大きくできる可能性がある。

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News Feature

筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)の研究には苦難続きの過去がある。しかし、ここにきてようやく、研究の足掛かりが見つかりそうな気配だ。

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Japanese Author

日本には450万人を超える認知症患者がいて、その7割弱がアルツハイマー病だとされる。他国も同様で、製薬会社はこぞってアルツハイマー病の治療薬やワクチンを開発しているが、失敗が相次いでいる。敗因の1つに「投与するタイミングが遅すぎる」可能性が示唆されている。このほど、国立長寿医療研究センターと島津製作所が中心となり、アルツハイマー病の病変(脳内アミロイドβ蓄積)の有無をごく初期から検出できる血液バイオマーカーを開発した。

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News & Views

聴力低下を引き起こす遺伝子変異を遺伝子編集で無効化する手法により、遺伝性難聴を防ぎ得ることがマウスで実証された。この技術は、ヒト難聴のうちのいくつかについて、治療の可能性を開くことになるだろうか。

原子レベルの薄さのシート状半導体を横方向に接合する簡便な方法が開発された。この方法は1つの反応器内で完結し、ガス環境を切り替えるだけで構造が制御可能で、多接合の横方向ヘテロ構造体も容易に作製できる。

クエーサーは、宇宙で最も明るい連続的な放射源だ。今回、これまでに見つかった中で最も遠いクエーサーが発見され、その測定から、初期宇宙の進化と構造を知る手掛かりが得られた。

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News Scan

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