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2020年7月号Volume 17 Number 7
オピオイド危機と闘う科学者
神経科学者であるノラ・ボルコフ(Nora Volkow)は、依存症と脳の関連を示す数々の発見と共に、依存症は心の弱さではなく脳の疾患であるという考え方を浸透させたことで知られる。ロシアの革命家トロツキーの孫でもある彼女を突き動かしているのは、依存症患者が差別を受ける社会を変えたいという思いだ。2003年から薬物依存研究に対する世界最大の研究資金配分機関、米国立薬物乱用研究所(NIDA)を率いている彼女は今、米国に蔓延するオピオイドと闘っている。
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — 自分に合った研究の場を見つける③
自分に合うと感じるポジションを見つけたら、次は応募です。良い履歴書と添え状とはどのようなものか、2回に分けて説明します。
News in Focus
放射性炭素年代測定法が大幅改訂へ
7年ぶりとなる較正曲線の改訂で、先史時代の試料の中には年代が数百年単位で変わるものもあるという。
質量が大きく異なるブラックホールの衝突を初観測
質量が大きく異なるブラックホールの衝突による重力波が初めて観測され、ブラックホールの自転などが検出された。
人工葉緑体が太陽光から高効率で糖を作った!
生物の膜と人が設計した化学経路を組み合わせることで、自然界の葉緑体よりも高いエネルギー効率で太陽光から糖を作ることができた。
珍しい北極のオゾンホールが異例の大きさに
北極上空で巨大なオゾンホールが形成された。北半球のオゾンホールとしてはおそらく観測史上最大であり、その大きさは南半球で毎年形成される南極のオゾンホールに匹敵する。
「abc予想」の証明論文がついに出版へ
論文著者の望月新一・京都大学数理解析研究所教授は数論の重要な未解決問題を解決したと主張しているが、一部の専門家からは、論文の致命的な欠陥は修正されていないとする声が出ている。
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「国境閉鎖はばかげている」スウェーデンの新型コロナ対策を指揮する疫学者は語る
スウェーデン公衆衛生局のアンデシュ・テグネルが Nature に、新型コロナウイルスによるパンデミックに対するスウェーデン独自の戦略について語った。
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新型コロナウイルス治療に効果が未証明な伝統薬を推奨する中国
中国伝統医学の薬をCOVID-19治療に用いる前に厳格な治験データで安全性と有効性を証明することが必要だと、科学者たちは指摘する。
Feature
オピオイド危機と闘う科学者
Nora Volkowは依存症研究に対する世界最大の研究資金提供機関を率いている。彼女は今、オピオイド蔓延問題における自身最大の試練に直面している。
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News & Views
光励起による強力な還元剤の生成
電気的に中性なラジカルを光で励起すると、強力な化学還元剤になることが見いだされた。意外にもこのラジカルは、強力な励起状態酸化剤として長く使用されてきた、正電荷を持つ前駆体から生じる。
死にゆく細胞からの代謝メッセージ
アポトーシスと呼ばれる過程によって起こる細胞死では、周囲の組織の炎症が抑制されている。今回、アポトーシスを起こして死にかけている細胞が、機能的な代謝分子混合物を放出することが見いだされ、どのようにして周囲の生きている細胞に影響を及ぼしているのかが明らかになった。
細菌に起因する変異シグネチャーを大腸がんで同定
DNAを損傷する分子を産生する腸内細菌と大腸がんとの関連性が指摘されている。これらの細菌によって引き起こされる変異シグネチャーがヒト大腸がんで同定されたことは、この関連性を支持する知見だ。
物質と反物質の非対称性が見えてきた
鏡の中の世界の反粒子は、こちらの世界の粒子と同じように振る舞うはずだと考えられていた。しかし、レプトン(ニュートリノや電子など)は、この予想に従わないかもしれないことが分かった。
News Scan
家禽になり損ねたキジ
かつてはニワトリのライバルだったようだ。