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2021年5月号Volume 18 Number 5
腸内細菌はどのように脳を変えるのか
腸脳軸や脳腸相関という言葉を耳にしたことがあるだろうか。腸内細菌が脳の神経系に影響を与え、疾患を引き起こしたり、その経過を変えたりすることが、この数年で急速に明らかになってきた。脳に作用を及ぼす細菌を突き止めるマッピング研究の功績が大きく、ここからパーキンソン病などの疾患で治療に使える可能性が浮かび上がってきた。
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — 査読をする③:査読レポートを書く(後編)
編集者と著者に伝わる査読レポートの書き方の後半は、体裁についてお話しします。
News in Focus
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新型コロナウイルス研究注目の論文(4月)
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)とその感染症(COVID-19)に関する文献で重要なものをNature が精査し、まとめた(2021年4月)。3月分はこちら。
数学の「天才」AIが人類に新たな難問を出題
伝説の天才数学者シュリニバーサ・ラマヌジャンにちなんだ名が付けられたAIアルゴリズムは、数々の興味深い数式を提案するが、その中には証明が困難なものも含まれている。
最速の乱数生成器を開発
レーザーを使って毎秒250兆ビットの速度で物理的に乱数を作り出す装置が開発された。今後、必要な機能を1つのチップに載せた小さな素子ができるかもしれない。
「100万年前」という壁を打ち破ったマンモスの古代ゲノム
165万年前のマンモスの歯からゲノム情報が得られ、古代DNA解析の最古記録が塗り替えられるとともに、更新世のマンモスの進化史がより鮮明に描き出された。
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コロナウイルス変異株と患者を追跡できるグーグル出資の巨大データベース
1億6000万以上のデータポイントにアクセス可能な、COVID-19症例の国際的なオープンリポジトリが公開された。
Features
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新型コロナウイルス迅速検査、どう活用すればいい?
安価な迅速検査を大規模に実施するという戦略は SARS-CoV-2のパンデミックを抑え込むための切り札になるのか? 科学者たちがいまだに議論しているその理由を解説する。
腸内細菌はどのように脳を変えるのか
微生物が脳に影響を及ぼす仕組みを解明する研究が始まっている。これはパーキンソン病などの疾患の治療のカギとなる可能性がある。
Japanese Author
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卵を産む哺乳類、カモノハシとハリモグラの高精度ゲノム解読に成功
卵を産むなど哺乳類らしからぬ振る舞いで知られる、カモノハシとハリモグラ。およそヒトなどとはかけ離れた特徴を持つ哺乳類である。今回、そのゲノム配列が、国際的プロジェクトにより高精度で解読された。哺乳類の進化の謎を解き明かす手掛かりとなるのはもちろん、生息数が減少しているこれらの動物の保護に役立てるなど、さまざまな研究の土台となる貴重なリソースとなるだろう。化学受容体遺伝子の専門家としてこの研究プロジェクトに参加した早川卓志・北海道大学助教と二階堂雅人・東京工業大学准教授に話を聞いた。
News & Views
神経機能代替デバイスによる血圧の維持
脊髄損傷により血圧の維持ができなくなると、身体の衰弱を招く。血圧の安定に不可欠な反射を人為的に再現することで、この問題を回避できるようになった。
β細胞でインスリン作用を調整するブレーキが発見された
インスリンは膵臓のβ細胞によって産生される。 今回、β細胞におけるインスリンシグナル伝達の調節因子が特定され、 この経路がβ細胞の生物学的性質において重要な役割を担っているとする 長年の考えが確固たるものになった。
免疫細胞の代謝変化により老化した脳が障害される
マクロファージと呼ばれる免疫細胞は、老齢個体では主要な代謝経路が遮断されることが分かっている。マウスでの研究だが、この状態にあるマクロファージの代謝を回復することで、加齢に伴う認知機能低下を軽減できることが分かった。
完全なリサイクルを可能にするバイオマスプラスチック
プラスチックは極めて有用で現代社会に不可欠な材料だが、貴重な石油資源を原料とし、完全なリサイクルが難しく、環境中に残り続ける。今回、巧妙な分子レベルの設計によって、これらの問題全てを解決し得る、バイオマス由来の高性能プラスチックが開発された。
News Scan
トラにワクチン
極東のアムールトラをジステンパーから守るために。