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2021年6月号Volume 18 Number 6
永久凍土に眠る炭素爆弾
北極域の永久凍土の融解が進んでいる。永久凍土は、陸域最大の炭素シンクだ。炭素源は、植物や動物の死骸だけではない。凍土の下の泥炭には未知・未培養のものも含めてさまざまな微生物が眠っていて、凍土の融解とともに活動を再開し、炭素を含んだガスを大量に放出する可能性があるのだ。
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学際的研究を超えたその先へ ― SDGs達成に向けて ―
Editorial
News in Focus
ティラノサウルス・レックスの総個体数が推定された!
現生動物に見られる体重と個体群密度の関係を用いて、「暴君トカゲ王」がかつて何頭存在したかが割り出された。
インサイトが測定した火星のコアは意外に大きかった
地球と月に続き、火星のコアの大きさが推定された。
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COVID-19の抗体治療に、先入観を覆す有望な結果
COVID-19の治療薬として、米国では数カ月前に複数のモノクローナル抗体が承認されているが、効果がないと考えられていたため普及が進んでいなかった。
CRISPRを利用した遺伝子治療でマウスの疼痛を緩和
まだマウスでの研究段階だが、オピオイド系鎮痛薬を使わずに慢性疼痛を治療できるようになるかもしれない。
JETでトリチウムと重水素の核融合実験を近く開始
大型核融合炉ITERでの実験に向け、英国にある実験炉JETでトリチウムと重水素を核融合させる実験が近く始まる。
培養皿で育てたミニ涙腺が泣いた
涙を分泌する細胞からオルガノイド(ミニ臓器)が作られた。目の病気の研究だけでなく、おそらく治療にも利用できると期待される。
ヒト胚の最初期ステージを体外で模擬することに成功
ヒト幹細胞を使って胚盤胞期を模擬する手法が編み出されたことで、ヒト発生についての重要な洞察が得られるはずだ。この種の研究は、胚の入手にも培養にも厳しい制限があるため難しかった。
欧州の1000億ユーロの研究資金がもたらす変化
欧州の巨額の科学研究資金助成計画「ホライズンヨーロッパ」は、助成金申請の募集を始めた。オープンサイエンスから目標重視の「ミッション」まで、ホライズンヨーロッパがもたらす変化を解説する。
Features
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室内という、最も危険な感染ホットスポット
換気が不十分だと、室内にウイルス粒子が集積して感染リスクが高まるが、「十分な換気」の基準や効果的な換気方法については、まだ明確な答えが得られていない。科学者たちは室内を安全にするために、さまざまな検討を行っている。
永久凍土に眠る炭素爆弾
温暖化によって永久凍土の融解が進むと、微生物の活動によって大量の炭素が放出されると懸念されている。異なる分野の研究の組み合わせや、数々の大規模プロジェクトによって、そうした微生物が気候変動予測に及ぼし得る影響が徐々に明らかになってきた。
World View
News & Views
質量90ミリグラムの重力場を検出
ニュートンの重力の法則は、2つの質量が約90mgと小さくても成り立っていることが実験で分かった。量子力学的な領域に入るほど弱い重力場の測定に一歩近づいた。
ミトコンドリアDNAが切断されると始まる免疫応答
ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官のDNA(mtDNA)が損傷を受けると、細胞は核内で免疫応答を開始する。今回、細胞がmtDNAの損傷を感知して核に伝える仕組みが明らかになり、細胞内で起こる細胞小器官と核の協調した免疫監視機構が見えてきた。
鳥の渡りの謎が解き明かされた
技術が進歩し、過去から現代に至るハヤブサの渡りルートの形成に、気候と遺伝子の変化が及ぼした影響を研究する新たな方法が得られた。これは、渡りが将来どうなるのかを予測するのに役立つのだろうか。
がんを助ける裏切り者、脂質
がんは、免疫抑制性の制御性T細胞の助けがあれば、免疫系による破壊を回避できる。制御性T細胞の活性は、腫瘍環境では脂質産生経路に依存しており、この脆弱性を標的としたがん治療が可能かもしれない。
News Scan
クジラの声で海底下を探る
ナガスクジラの発した音波が地殻内部で反射してきた信号を捕捉する。