2021年6月号Volume 18 Number 6

永久凍土に眠る炭素爆弾

北極域の永久凍土の融解が進んでいる。永久凍土は、陸域最大の炭素シンクだ。炭素源は、植物や動物の死骸だけではない。凍土の下の泥炭には未知・未培養のものも含めてさまざまな微生物が眠っていて、凍土の融解とともに活動を再開し、炭素を含んだガスを大量に放出する可能性があるのだ。

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2021年3月26日、東京大学未来ビジョン研究センターとシュプリンガー・ネイチャーの共同で、「SDGsシンポジウム2021:学際的科学から解決策を考える食料、水、気候、生態系の持続可能な開発目標」がオンラインで開催された。シンポジウムは、基調講演・研究発表・パネルディスカッションで構成され、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて意義深い意見が交わされる貴重な機会となった。
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Editorial

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アストラゼネカ社とオックスフォード大学が共同開発したCOVID-19ワクチンを巡り、欧州では政治家や政策立案者による論戦が展開されているが、こうした政治的な発言で傷つくのは、ワクチンそのものの信頼性だ。

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News in Focus

涙を分泌する細胞からオルガノイド(ミニ臓器)が作られた。目の病気の研究だけでなく、おそらく治療にも利用できると期待される。

欧州の巨額の科学研究資金助成計画「ホライズンヨーロッパ」は、助成金申請の募集を始めた。オープンサイエンスから目標重視の「ミッション」まで、ホライズンヨーロッパがもたらす変化を解説する。

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Features

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換気が不十分だと、室内にウイルス粒子が集積して感染リスクが高まるが、「十分な換気」の基準や効果的な換気方法については、まだ明確な答えが得られていない。科学者たちは室内を安全にするために、さまざまな検討を行っている。

温暖化によって永久凍土の融解が進むと、微生物の活動によって大量の炭素が放出されると懸念されている。異なる分野の研究の組み合わせや、数々の大規模プロジェクトによって、そうした微生物が気候変動予測に及ぼし得る影響が徐々に明らかになってきた。

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World View

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News & Views

ニュートンの重力の法則は、2つの質量が約90mgと小さくても成り立っていることが実験で分かった。量子力学的な領域に入るほど弱い重力場の測定に一歩近づいた。

ミトコンドリアと呼ばれる細胞小器官のDNA(mtDNA)が損傷を受けると、細胞は核内で免疫応答を開始する。今回、細胞がmtDNAの損傷を感知して核に伝える仕組みが明らかになり、細胞内で起こる細胞小器官と核の協調した免疫監視機構が見えてきた。

技術が進歩し、過去から現代に至るハヤブサの渡りルートの形成に、気候と遺伝子の変化が及ぼした影響を研究する新たな方法が得られた。これは、渡りが将来どうなるのかを予測するのに役立つのだろうか。

がんは、免疫抑制性の制御性T細胞の助けがあれば、免疫系による破壊を回避できる。制御性T細胞の活性は、腫瘍環境では脂質産生経路に依存しており、この脆弱性を標的としたがん治療が可能かもしれない。

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News Scan

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Where I Work

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