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2021年7月号Volume 18 Number 7
ヒトとネズミで発生のペースが違う理由
発生のペースが、マウスとヒトで異なるのはなぜか。そのカギを握ると見られるのが、分節時計と呼ばれる、細胞内のタイムキーパーだ。分節時計の遺伝子は1990年代にニワトリ胚で特定されたが、ヒト細胞で研究が進み出したのは2019年。驚いたことに、ヒトの分節時計は、他の動物よりも進みが遅かったのだ。
Editorial
Publishing Academy
学術界サバイバル術入門 — 助成金を申請する①
激しい競争を勝ち抜くためには、あなたが提案する研究について、配分機関(審査委員)が知りたいことを申請書で的確に述べることが必須ですが、その前に、どの助成金に応募すればよいか、戦略を立てることも大切です。
News in Focus
欧州最古のヒトDNAが明かす、後期旧石器時代の人類の交雑事情
欧州最初期の現生人類の複数のゲノム情報から、現生人類とネアンデルタール人の交雑が中東だけでなく欧州でもごく一般的だったことが分かった。
小さな太鼓で量子もつれを観測
巨視的物体の量子もつれの証拠が、振動するアルミニウム膜の研究で得られた。
「トリップ」しない幻覚剤を見つけるセンサーが開発された
幻覚作用のない幻覚剤を簡単に識別できるようになれば、うつ病やPTSDのような精神疾患の薬物治療を改善できるかもしれない。
米国が温室効果ガスの大幅削減を公約
米国大統領の温室効果ガス排出量を半減させる公約に対して、研究者たちは、この取り組みだけでは気候変動の抑制には不十分かもしれないと危惧している。
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変異株COVID-19にも有効、点鼻型ハイブリッド抗体
経鼻送達可能なハイブリッド抗体が作製された。この抗体を投与すると、SARS-CoV-2に感染したマウスで肺に存在するウイルスの量を急激に減少させることができた。
Features
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マスク着用義務の解除について、科学の視点で考えてみる
新型コロナウイルス感染者数の減少やワクチン接種率の上昇に伴い、米国などではマスクの着用義務が部分的に解除されつつある。この動きは早過ぎないのだろうか?
ヒトとネズミで発生のペースが違う理由
動物の発生が種によって異なった速度で進む理由が解明され始めている。そのカギとなるのは、細胞の中の小さな「タイムキーパー」かもしれない。
Japanese Author
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神経回路の衰えた修復力を回復する因子を発見!
脳の神経回路には、自己修復する機構が備わっているが、この修復力は加齢や神経変性疾患で衰え、認知や記憶などの脳機能が低下する。国立精神・神経医療研究センター神経研究所の村松里衣子・神経薬理研究部長らの研究チームは今回、損傷した神経回路の修復を担うオリゴデンドロサイトを分化誘導するカギが、生理活性ペプチドであるアペリンと、その受容体APJを介したシグナル伝達系の増大にあることを見いだした。
News & Views
ガラスの原子構造の画像化に、ついに成功
金属ガラス試料中の全ての原子の空間配置が実験的に決定された。ガラス研究者の長年の夢がかなうとともに、周期性を持たない固体の構造に関して、新たな知見が得られる可能性が出てきた。
付け加えがちな私たち
問題解決に関する心理学実験で、人々は、物、考え、状況などから要素を取り除く方が効率的であるときでも、要素を付け加える解決法を考える場合が多いことが分かった。
腫瘍細胞表面に提示され、T細胞に認識される細菌ペプチド
腫瘍細胞の表面には、腫瘍細胞に侵入した細菌のタンパク質断片が提示されていて、それは免疫系によって認識され得ることが分かった。この発見は、がん免疫療法に影響を及ぼす可能性がある。
リラックスして発毛促進
マウスにおいて、ストレスホルモンが皮膚細胞を介してシグナルを伝達し、毛包幹細胞の活性化を抑制することが分かった。このストレスシグナル伝達を遮断すると発毛が刺激される。ストレスのある人は気を付けて!
News Scan
キノコから作る布地
美術館に残っていたある工芸品はキノコの菌糸体でできていた。