2005年1月号Volume 2 Number 1
Editorial
News Features
巨大な「炭素市場」が動き出す
二酸化炭素などの温室効果ガスを企業が排出することを認める、排出権の売買がすでに始まっている。温室効果ガスを吸収するように計画されたプロジェクトで利益を得る企業も現れている。こうした排出権取引市場が活況を呈すれば、二酸化炭素の排出量を本当に減らすことができるのだろうか。Michael Hopkinが報告する。
2005年、科学界の願いごと
2004 年は戦争や病気のニュースが他を圧して多く、またバイオテ ロや核開発の増大におびえた年でもあった。ただ、科学界につい ていえば、まったくなんの進展も希望もない年だったわけではな い。ラットゲノムの解読から今まで知られていなかった小型のヒト 属の発見まで、今年も自然の本質の追及が続けられ、好奇心をそそ る結果が生み出された。また問題を真剣に受け取らない政治家たち にイライラさせられてきた科学者たちも、ロシアが京都議定書の批 准を決めたことで少しは慰められたかもしれない。今回は、そんな 2004 年の科学界を沸かせたいくつかの出来事について特集する。
蟻と象の争い?
研究資金の配分先が、1人のリーダーが率いる小規模な研究室から、高額の装置を使用する大人数のチーム研究へと移っている。こうした「ビッグ・バイオロジー」の高まりに行き過ぎはないだろうか。Erika Checkが報告する。
News & Views
2003年夏のヨーロッパ、あの猛暑は誰のせい?
2003年、ヨーロッパは熱波に見舞われた。あれは、単なる珍しい気象現象だったのだろうか、それとも初めて垣間見ることのできた未来の気候変動の姿だったのだろうか? おそらくその両方だったのだろう、という答えが示され、人間活動による影響を定量化できることが明らかになった。
RNA干渉法でコレステロール値を下げる
RNA干渉、略してRNAiは疾病関連遺伝子の発現抑制に役立つ可能性があるが、その進展を妨げているのは標的への送達の問題である。こうした問題が、少なくとも動物実験では解決されたようだ。
Nature Jobs & Events | 研究者訪問
人間の限界を超えた機能を持つロボットをデザインする
イチロー選手のメジャーリーグ最多安打更新に沸いた今 年の野球界だが、日本にはすでに10 割バッターが登場し ていた! とはいっても、これはロボットの話。東京大学 大学院情報理工学系研究科の石川正俊教授らのグループが 開発した、高速バッティング・ロボットだ。