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2023年2月号Volume 20 Number 2
生物学を支配する不定形の凝集体
細胞内のあちこちで見られる奇妙な液滴。2009年の論文を皮切りに、それに関する報告は毎年うなぎ上りだ。生体分子凝集体と名付けられたこの液滴は、本当に、液‒液相分離によって形成されるのか?どのような働きをしているのか?研究者たちは今、この謎の解明に取り組んでいる。
Editorial
Research Highlights
リサーチハイライト
「地球温暖化で砂漠の砂丘が移動する 」「腸の救い主は痛覚ニューロン 」「はくちょう座のブラックホールのX線が非常に明るい理由」「ライブ客は聞こえない音に反応して踊っていた!」、他。
Publishing Academy
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学術界サバイバル術入門 — 学術誌の編集方針改定に対処する①
学術誌の編集方針は時とともに改定され、論文著者に求められることも変化します。第1回では、Nature および複数の関連誌が2016年9月に義務付けた「データ利用可能性ステートメント」の目的と、対処方法について説明します。
News in Focus
2023年注目の科学イベント
2023年には、月面着陸やmRNAワクチン、気候変動ファイナンスなどに関連した研究で進展が見られそうだ。
うるう秒、2035年以降使用せず
原子時を地球の自転に合わせる慣行を今後も続けるか、またどのようにして続けるかは、依然として議論の的である。
6億種類のタンパク質の構造を予測したメタのAI
メタ社のAIが挑んだのは、土壌や海水や人体に棲まう、地球上で最も解明が進んでいない微生物のタンパク質だ。
コウモリからヒトへウイルス伝播が繰り返されるわけ
致死性の感染症を引き起こすヘンドラウイルスは、まれにコウモリからヒトへと「スピルオーバー」する。その仕組みが、画期的な研究で明らかになった。
免疫細胞をCRISPRで改変、がん個別化治療の臨床試験結果
個人のがん細胞に合わせて免疫細胞にゲノム編集を施し、がん細胞を攻撃させる「これまでで最も手の込んだ」治療法。その小規模臨床試験の結果が発表された。
査読に回した論文は必ず受理!eLifeが新方針
権威あるジャーナルが発表した大胆な変更に対して科学者からさまざまな意見が寄せられている。
アルツハイマー病リスク遺伝子はこうして脳を破壊する
APOE遺伝子バリアント(多様体)のAPOE4は、アルツハイマー病の最も危険な遺伝的要因として知られる。このバリアントが、ニューロンを覆うミエリンの形成に影響を及ぼすことが示唆された。
Features
生物学を支配する不定形の凝集体
2009年の論文を皮切りに、細胞内のあちこちで見つかる奇妙な液滴に関する報告が急増している。この液滴はどのようにして形成され、どのような働きをしているのか?研究者たちは今、この謎の解明に取り組んでいる。
とっておき年間画像特集2022
2022年にはNASAのジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した宇宙の画像が地上に届き始め、その高精細な画像は私たちの想像力を大いにかき立てました。地上では、ストレスにさらされた生態系や、細胞世界の驚くべき画像が撮影されました。ブラックホールから火山噴火まで、2022年にNature編集部の目を引いた写真を紹介します。
News & Views
膜タンパク質の組み立てに思いがけない事実
膜貫通型タンパク質は細胞において多くの重要な役割を担っている。今回、複数回膜貫通型タンパク質が動物細胞の膜に挿入される過程について新たな知見が得られ、これまでの認識に疑問が投げ掛けられた。
氷河後退による火山活動で起こった海の貧酸素化
太平洋北東部でかつて数千年間続いた、溶存酸素に乏しい水域の原因が、アラスカ湾の海底の過去2万年間の堆積物記録から示唆された。北米にあった氷河が解けて火山活動を引き起こし、海水中の酸素が失われたとみられる。
ペストの大流行による急速な自然選択
中世を生きた人々のDNAの分析から、14世紀の腺ペストパンデミックによる急速な自然選択を受けた人は生き残った一方で、その子孫は自己免疫疾患のリスクが上昇した可能性があることが明らかになった。
麻痺からの回復を助ける細胞を特定
脊髄損傷の治療を改善するには、技術的な進歩と回復に関する生物学的な洞察の両方が必要である。神経系の高分解能分子マップから、生物学的な洞察が得られ始めている。
全身性エリテマトーデスを治療するCAR-T細胞療法
免疫系のT細胞に遺伝学的改変を加えて特定の細胞を攻撃させるCAR-T細胞療法で、全身性エリテマトーデス(SLE)の治療を目的とするものが開発された。作製されたCAR-T細胞を患者に注入すると、臨床的および免疫学的な改善が見られた。
Advances
鱗から歯へ
ノコギリエイの化石から歯の起源に関する手掛かりが得られた。