2023年9月号Volume 20 Number 9

「自然な状態」での計測が神経科学を変える

脳と行動の関係を調べる神経科学ではこれまで、レバーを押すように訓練した動物や特殊な環境に置かれた動物で反応を見るのが標準手法であった。しかし、動物の「自然な活動」を計測することが技術的に可能になった数年前から、この分野が大きく変わりつつある。この手法はこれまで見落とされていた神経活動を捉え、実情に合った治療法や医薬品の開発につながると期待されている。

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医療ビッグデータを治療や医薬品開発に役立てようとする試みは近年加速するばかりだ。デジタル後進国の日本は諸外国より遅れているが、医療DXの気運が高まる中、一歩ずつ課題を乗り越えようとしている。

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Editorial

地球に代わる「プラネットB」は存在しない。それなのに、人類を今よりも持続可能な道に導くための最大の好機が、暗礁に乗り上げようとしている。

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Research Highlights

「マングローブを大切にすれば炭素を隔離できる」「『永遠の化学物質』に微生物でとどめを刺す」「アルゼンチン沖で仔クジラを襲うカモメ」「木星の雷のリズムは地球の雷のものに似ている」、他。

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News in Focus

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Features

ロシアの侵攻は、ウクライナの科学研究体制に大打撃を与えた。その再建は、ウクライナの科学研究体制を現代化するチャンスでもあり、この国の復興にも不可欠かもしれない。

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World View

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News & Views

アブラヤシの栽培は広く定着している。しかし、アブラヤシ単作地の中に在来樹木の「島」を設けると、作物の収量を大きく低下させずに生物多様性と生態系機能を高められることが、5年にわたる研究で指摘された。

土星の氷衛星エンセラダスの地下海にリン酸塩が存在する証拠が得られ、この海の水がアルカリ性であることが裏付けられた。この知見から、エンセラダスの惑星地球化学と起源、そして生命を育む能力に関する手掛かりが得られる。

ひずんだ分子から解放されるエネルギーは、難しい化学反応を促進することができる。今回、これまで見落とされてきた高ひずみ分子を用いて、複雑な構造の有機化合物を迅速に構築する実用的な方法が開発された。

幼若マウスは、成体よりも社会的経験に満足感を得る。 幻覚剤が、成体で社会的神経回路をさまざまな持続時間にわたって再作動させるという発見は、幻覚剤の治療的効果の基となる機構を示唆している。

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Advances

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Where I Work

Michael Moisseeffは、 国立トゥールーズ工科大学(フランス)元顧問、 香りの彫刻家。

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