2006年4月号Volume 3 Number 4
Editorial
News Features
ヒトクローン研究の最前線さて、どうしよう?
今年1 月、韓国ソウル大学の調査委員会は、クローン研究者Woo Suk Hwang(黄禹錫)率いる研究チームが比較的容易にヒトクローン胚(体細胞核移植胚)を作り、そこから胚性幹細胞(ES 細胞)を作製したとする研究成果はねつ造であったとの調査結果を発表した。
それでも卵が必要か?
拒絶されれば誰だってつらい。だが、臓器移植手術を受けた者にとってそれは、死を宣告されるに等しいことにもなる。患者の免疫系は、移植された臓器(移植片)を「自己」ではなく「異物」としてみなすため、患者は、時に重い副作用が現れる免疫抑制剤を手放すことができない。
続々と見つかる熱水噴出孔
地球のあちこちの海底で、高温の水が噴き出す熱水噴出孔が見つかっている。この特異な生態系の探索の現状を、Christina Reed が報告する。
Japanese Author
チンパンジーY 染色体のゲノム解析で探る性染色体の起源(黒木 陽子)
ヒトに続き、各国でチンパンジーのゲノム解析が進められている。最近では、日本の理化学研究所を中心とするチームによって、チンパンジーのY染色体の配列が詳細に読まれ、ヒトのY染色体と比較された。常染色体ではなく、性染色体が詳しく比較されたのは、今回が世界で初めてだ。その成果と意義について、プロジェクトの中心的な役割を果たした黒木陽子研究員にうかがった。
News & Views
冥王星一家は増えるいっぽうだ
冥王星は、広大な太陽系の最も外側をたったひとりで寂しくまわっているわけではない。ともに行動する仲間が、3つもいることがわかった。冥王星にこれだけの数の衛星があるとすると、はるか彼方の氷でできたカイパーベルト天体にも衛星がないとはいえないだろう。
Business News
幹細胞作製の終わりなきドラマ
ヒト胚のクローン作製に成功したという韓国人科学者の主張は破綻し、研究に空白地帯が生じている。だが、アドバンスト・セル・バイオロジー社は今後の研究について慎重な姿勢をみせている。David Cyranoskiが報告する。
Nature Gallery
超新星爆発の衝撃波で乱される星間雲の姿がX 線で明らかに
ある種の星はその生涯を終えるとき、激しい爆発を起こす。この現象を超新星といい、そのあとには、超新星残がいとよばれる星雲状の天体が残る。それは数百万~ 1 億℃という超高温の物質からなり、高エネルギーの電磁波であるX 線を放射していると考えられている。
News
ヒトの淘汰は今も続いている
3つの人種の間で進化の跡がどう違うか、を調べる遺伝学研究が行われた。
古代ミノア人は数百年先を行っていた?
人類史上最古の数学的知識が、青銅器時代の壁画で発見された。
卵の秘密を掘り当てる
モナシュ大学(オーストラリア、メルボルン)の幹細胞研究者Alan Trounson のもとには時おり、女性たちから卵子(卵ともいう)提供の申し出がある。患者の声を聞くフォーカスグループで彼が話をすると、その後、卵の提供を申し出る女性たちが出てくるのだ。
英語でNature
進化:マンモスの思い出
専門性が高く、とっつきにくいと思われがちなNews & Views。そこで今回は、そんなNews & Views から短い記事を紹介します。巧みな文章力で書かれた、ポイントをしぼった短い記事の随所にしゃれた表現がちりばめられています。微妙なニュアンスの表現も多く、最初は読みにくいかもしれませんが、著者ヘンリー・ジーの独特の英語世界をご堪能ください。
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