2007年12月号Volume 4 Number 12
Editorial
News
ヒトES細胞研究でしのぎを削る
2つの大いに待ち望まれていた世界初の研究成果が11月中旬に発表され、再生医療における夢の実現に一歩近づいた。成功の1つは霊長類クローン胚からの胚性幹(ES)細胞の作製、もう1つはヒト成人の皮膚細胞の再プログラミングで、どちらも、体のおよそ200種類の細胞のほとんどどれにでも発生可能な「分化多能性」をもった細胞の作製をめざす行程の、重要な道標となる。
News Features
『ザ・シンプソンズ』— パイの味わい
『ザ・シンプソンズ』の偉大さの1つは、どんなことにもユーモアを見つけようとする姿勢にある。もちろん科学も例外ではない。『ザ・シンプソンズ』のチーフ脚本家にしてハーバード大学数学科の卒業生であるエグゼクティブ・プロデューサーAl Jeanが、オイラーの公式で笑いを取る方法をNatureに語った。
娘のDNA
臨床遺伝学を修めたというのに、娘の体の異常がどこから来ているのかHugh Rienhoffにはいっこうにわからなかった。そこで彼はBrendan Maherにこういった。だったら自分で突き止めてやろう。
Japanese Author
piRNA分子による遺伝子サイレンシング機構に迫る
生命現象を理解する手がかりとして、ノンコーディングRNAが注目を集めている。徳島大学ゲノム機能研究センターの塩見春彦教授と塩見美喜子准教授夫妻は、そのうちの1つ、生殖細胞に存在する「小さいRNA分子」であるpiRNAの働きを生化学的に解析し、レトロトランスポゾンの増殖を抑制する仕組みやpiRNAの生合成過程などを明らかにした。卵巣での解析はScience 3月16日号に、精巣での解析はRNA11月号に発表した。
News & Views
言語変化を導く「見えざる手」
ある単語が使用される頻度と、その単語が時間とともに変化する速さとの間の定量的な関係から、個人の行動が大規模な言語的・文化的変化を決定づける過程について興味深い問題がみえてくる。
Regions
鯉魚、竜門を跳ぶ
かつては貧しい村だった深センが、今では中国で最も裕福な街の1つとなった。この街の将来計画をDavid Cyranoskiが取材した。
英語でNature
大陸が高速で衝突した理由が説明された
能登半島地震、新潟県中越沖地震、耐震偽装問題、緊急地震速報の運用開始 — 2007年も、改めて日本が「地震大国」だと感じさせる出来事が続きました。日本列島は、周辺で4つのプレートがぶつかり合い、地震が最も多い地域の1つなのです。 今回は、プレートテクトニクスを扱ったニュース記事を取り上げます。この分野にあまりなじみがない場合は、まず右ページの図や解説で専門用語を頭に入れてから、英文を読んでみましょう。
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