2010年3月号Volume 7 Number 3

Editorials

ノーベル賞物理学者で米国エネルギー省(DOE)長官のSteven Chu博士が、Natureの「2009年話題の人」に選ばれた。彼は今、問題が山積する米国のエネルギー技術の再構築に向けて強いリーダーシップを発揮しており、マンハッタン計画などを例に出して米国の科学者と技術者を鼓舞している。隠された標的の1つはエネルギー技術先進国日本と思われ、DOEおよびChu長官の動向には目が離せない。

現在提案されている「著者識別システム」は、発表論文数や被引用回数という縛りから解放された、新しい学術評価制度の基盤となる可能性がある。日本でも、論文の数を優先する評価システムがさまざまな弊害をもたらしており、この新しい試みは検討に値すると思われる。

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News

Y染色体は長年、ゲノムの中のできそこないとして振り向きもされない存在だった。しかし、チンパンジーのY染色体の全塩基配列が解読され、ヒトのY染色体(唯一、同程度の精度・完成度で配列が明らかにされている)との比較により変化(進化)の速度が明らかになった。

Natureを1年分振り返ってみると、いろいろな科学ニュース、研究発表があったことに改めて気づかされます。そんな中から、ちょっとおもしろい画像をえりすぐってみました。宇宙ステーションから運よく撮影された火山噴火、地球上から永遠に姿を消してしまうかもしれない最小サイズのカエル、太陽の前を通過する人類の「宇宙前哨基地」などなど…。どれもなかなかの秀逸作品です。さあ、真っ暗な深海から、数千光年離れた銀河系の中心まで、ちょっとした旅を楽しみませんか。

反政府勢力による攻撃のタイミングとその犠牲者には普遍的なパターンがある、という研究成果が発表された。

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News Features

再生可能エネルギーの普及は、大規模な電力エネルギー貯蔵が可能にならないかぎり、期待できない。そこで、カギを握る5つのエネルギー貯蔵技術について検証してみた。

汚れた子ブタは、のちのち強力な免疫系を作り上げていくのに役立つ「有益な」細菌を取り込んでいる、とする研究成果が得られた。きれいすぎないブタのような生活は、健康によいのかもしれない。

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Japanese Author

地球温暖化の影響で、ヒマラヤの氷河も後退を続けている。氷河変動の観測では衛星画像や衛星データが有力な手段だが、地上でのフィールド調査もまた、必要不可欠な観測手法だ。地上を歩くことでしかみえてこない科学的真実がある。

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News & Views

地球のわずか2.7倍の大きさの惑星が発見され、地球に似た世界の探索が大きく前進した。この惑星の質量と大きさは、「水の惑星」ともよばれる「水を大量に含んだ仮説上のスーパーアース(巨大地球型惑星)」の理論的な予測値とほぼ一致している。

記憶形成は、ニューロン間の接合部位であるシナプスで起こることが知られている。今回、ニューロンとは別種の脳細胞であるアストロサイトも記憶の確立にかかわっていることがわかった。これは驚くべき成果だ。

どんな酒でも飲みすぎれば二日酔いになるものだが、一般に、バーボンなどの濃い色をした酒は、ウォツカなどの無色の酒に比べて、ひどい二日酔いになりやすいと信じられている。Damaris Rohsenowらは最近、この俗信を実験によって証明した(D.J.Rohsenow et al. Alcoholism Clin. Exp. Res. doi: 10.1111/j.1530-0277.2009.01116.x; 2009)。また、これらのアルコール飲料が引き起こす二日酔いが、集中力の持続とスピードを要する課題の遂行能力を低下させること、そして、課題遂行能力の低下は酒の色ではなく二日酔いの重さと相関していることも明らかにした。

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Opinion

これから10年間、科学はどう展開していくのだろうか。今月号と来月号の2回に分けて、最先端の研究者と政策立案者からの展望を紹介する。go.nature.com/htW8uMにアクセスし、読者諸氏の反応や見方をお寄せいただきたい。

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英語でNature

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