2010年4月号Volume 7 Number 4
新種の人類発見か?
シベリアの「デニソワ洞窟」で見つかった指の骨のミトコンドリアDNA解析から、約4万年前、ネアンデルタール人とは別の人類が生息していたことがわかった。この「デニソワ人」は、104万年前に、 現生人類とネアンデルタールの共通祖先から分かれたらしい。
Editorials
Nature 論文選定に関する俗説
Natureに掲載される研究論文に関して、選定方法と選定理由について誤った俗説がなお幅を利かせている。それらについて明確に反論する。
News
新種の人類発見か?
骨の化石のDNA 解析から、4万年前のシベリアに未知の人類がいたことが明らかに。
チリ地震の津波予測と警報発令
津波警報発令担当者は、大地震発生時の津波予測モデルをどの程度考慮すべきか。
きらきら光る「蜘蛛の糸」
ぬれたクモの糸は2種類の力の作用で水を捕らえる。
火星探査車「スピリット」(2003-2010)
NASAは、火星にいるロボット探査車を、その最後の休息場所にとどめる決定を下した。
太陽が、長い眠りから覚めた
太陽はここ100年で最も静かな期間にあった。今、ようやく眠りから覚めたところで、これから活動期のピークに向かう。
古代グリーンランド人のゲノムを解明
古代人のゲノムから北極圏の住人の起源が明らかに。
「細菌時計」が一斉に鳴り響く
人工の遺伝子回路を用いて細菌コロニー全体の時計を合わせる。
光の八木・宇田アンテナ
ナノスケールの金のロッド(棒)を配列することで、光を望みの方向に向けることができた。これは量子通信に不可欠の技術だ。
News Features
合成生物学が直面する厳しい5つの現実
合成生物学とは、DNA やタンパク質などの生体構成物質を目的に応じて人工的に改変し、それらを組み合わせて擬似生体システムを構築することにより、生命システムを理解しようとする学問である。しかし、工学的な手法によって、複雑な生物学的システムを操作することは可能なのだろうか。合成生物学が抱える5つの課題と、それらの解決策について検証した。
トランスレーショナルリサーチの熱き伝道師
Alan Ashworthは、驚くべき速さで、抗がん剤を実験室から患者の元へ送り届けた。基礎研究の成果を臨床に応用するトランスレーショナルリサーチに情熱を注ぐ、この「伝道師」を取材した。
硫化水素発生中
硫化水素は、腐った卵の臭いがする無色の有毒ガスである。しかし近年、生体内で硫化水素が産生され降圧作用をもつことがわかり、にわかに注目が集まっている。果たして硫化水素は、一酸化窒素に続く新たな生体内ガス性シグナル伝達分子となるのだろうか。
肥料資源「リン酸」が枯渇する!?
リン酸肥料は過去100年、世界の農業生産量拡大に大きく貢献してきた。しかし、近い将来、その資源が枯渇するかもしれない。リン酸の危機を追う。
Japanese Author
細胞を使わないで、 膜タンパク質合成系を開発 (横山 茂之)
「膜タンパク質」は、他の細胞からの信号を細胞内に伝えるなど、多様な生命活動を支えるカギとなる物質だ。このタンパク質は水溶性でなく、合成や精製、解析が非常に難しい。横山茂之博士らは、この膜タンパク質を、大腸菌などの細胞を使わずに、正しい立体構造を保ったまま大量合成する新しい手法を開発した。
News & Views
量子コンピューターとは何か
量子力学を利用したコンピューターの開発レースが続いている。こうしたマシンは、かつては手に負えないと思われていた物理学、数学、暗号の問題を解決し、情報技術に革命を起こし、物理学の基本を明らかにする可能性がある。その日が来るのは、いつだろう?
別種の細胞へ直接分化転換
これまで、分化した細胞を初期化して別の細胞種に転換させるには、いったん多能性をもつ幹細胞の状態にする必要があった。このほど、幹細胞を経ずに、繊維芽細胞から直接ニューロンを作製できたという、画期的な成果が報告された。
炭素–炭素結合が開裂する
有機合成化学の世界で、新しい可能性が開かれた。これまで、炭素– 炭素結合の切断は容易でないことが知られていた。ところが今回、特に強い炭素- 炭素結合が、タングステン錯体によって切断されることが明らかになったのだ。
Opinion
2020年科学の旅(後編)
今後10年、科学や技術の世界ではどんな進展がみられるのだろうか。先月号に引き続いて、最前線にいる研究者や専門家による展望予測を紹介する。
英語でNature
体が水を欲しがらない理由
体内時計がホルモン分泌の切り替えスイッチとして働き、水分喪失を制御している。
Advertisement