2011年1月号Volume 8 Number 1

紛失したとされていたクリックの手紙が発見

DNA二重らせんモデルを構築し、20世紀後半からの生物学革命を引き起こしたワトソンとクリック。そこに至るまでに、クリックらのケンブリッジ大学グループと、ウィルキンズやロザリンド・フランクリンなどのロンドン大学グループ、そしてポーリングなどが、複雑に関係している。今回発見された書簡は、彼らの生き生きとした人間模様を教えてくれる。

Editorials

欧州連合内のイノベーションを強化する最良の方法は、各国の文化的、歴史的、制度的な障壁を超えて、統合された研究圏を構築することだ。

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News

脳−マシン・インターフェースを使った実験により、ヒトは自分の思考を制御することで好みの画像を選択的に認知できることがわかった。

歴史学者Susan Reverbyは、米国ウェルズリー・カレッジの女性学およびジェンダー研究の教授で、梅毒にかかったアフリカ系米国人男性600人以上に対して治療が行われなかった、悪名高い「タスキギー実験」の専門家でもある。彼女は最近、米国公衆衛生局が1946~48年に、未公開の研究プロジェクトで数百人のグアテマラ人を梅毒に曝露させた事実を発見した。これを受けて米国政府は、2010年10月初旬、グアテマラ政府に対し公式に謝罪し、全容解明に向けて調査を行うことを約束した。

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News Features

ハッブル宇宙望遠鏡の後継機となるNASAのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、宇宙への新しい窓を開くことを約束する。しかし、増え続ける費用が、市民や政治家の懸念を増大させている。

最近、多くのアマチュア研究家が、自宅ガレージやキッチンなどに実験室を作り、個人的に分子生物学実験を行っている。彼らは、一昔前のコンピューターハッカーのように創造性にあふれ、たとえ自作の安価な装置でも研究できることを示そうとしている。こうした動きは、ライフサイエンス研究に革新をもたらすだろうか。

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Comment

DNAの二重らせんモデルで名高い、フランシス・クリック。彼がワトソンと共に、このモデルを構築するまでの経緯については、既に多くの書籍が出版されている。このほど、そうした経緯を新たに彩るクリックの書簡が発見された。そこからは、『二重らせんの物語』に秘められた登場人物たちの個性と緊迫した微妙な人間関係が、鮮明に浮かび上がってくる。Nature ダイジェストでは、今回初公開となるこれらの書簡について、3号にわたって掲載する。

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Japanese Author

かつて「魔法の弾丸」と称された抗菌薬。結核をはじめ、細菌による感染症の多くが治るようになり、「もはや感染症は脅威ではない」とまでいわれるようになった。ところが、今ごろになって、細菌が再び牙をむき始めている。抗菌薬の使いすぎによって、主要な3系統の抗菌薬に耐性をもつ多剤耐性菌が出現し、各国で感染や死亡例が相次ぐ事態に陥っているのだ。

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News & Views

これまでに観測された中で最も遠い天体の記録を、UDFy-38135539銀河が塗り替えた。この銀河は、宇宙の再電離時代に水素原子から電子を取り去ったものが何だったのかという問題に対して、大きな手がかりとなるはずだ。

膵臓がん患者の予後はよくないが、それは診断の遅れが原因となっていることが多い。今回、正常細胞から腫瘍細胞への変化の開始(発がんイニシエーション)から転移性を獲得した悪性化まで、少なくとも15年かかるという推定値が出された。この研究成果から、膵臓がんの早期発見や予防に希望がみえてきた。

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