2012年10月号Volume 9 Number 10

アルツハイマー病を防ぐ遺伝子変異

アルツハイマー病患者は全世界で約3000万人いると推定され、高齢化社会の大きな課題の1つとなっている。そんな中、朗報がもたらされた。アイスランド人の全ゲノム配列と病歴を比較する研究によって、アルツハイマー病を抑える遺伝子変異が発見されたのだ。この変異は、アミロイドβ前駆体タンパク質(APP)を作る遺伝子の中にあった。この発見により、これまで疑われてきたアミロイドβが、まさにアルツハイマー病の根本原因であると特定され、今後、この物質を標的とした治療法の開発が加速されることになる。

Editorials

活版印刷機は人類の歴史を変えた。人々の識字率を高め、旧弊たる世界に光明をもたらした。普及が始まった三次元(3D)印刷技術は、同様の社会変革をもたらすだろうか。

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Research Highlights

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News

遠いブラックホールに飲み込まれる寸前の星から最後の叫びをキャッチした。

長い間、外部からの病原体に対して単なる物理障壁と考えられてきた皮膚。その皮膚に共生する細菌が、宿主の免疫系の活性化に重要であることが明らかになった。

甲虫の翅からヒントを得て、ねじれを感知できるセンサーが開発された。これを応用すれば、微妙な触覚を持つロボットが誕生するかもしれない。

アイスランド人で見つかった非常にまれな遺伝子変異が、認知機能の低下を抑制する可能性がある。アルツハイマー病の治療法の開発に向けて、期待が高まる。

2012年6月、ガラパゴスゾウガメの一種、ピンタゾウガメ最後の生き残りであるロンサム・ジョージが死亡した。彼の死により、ガラパゴスの保全活動が勢いづいている。

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News Features

ドーピングなどの方法で運動能力を向上させることは、スポーツ界では違反行為とされている。しかし、それらの規制をすべて撤廃すれば、科学は人間の運動能力の限界を打ち破ってしまうかもしれない。

脳の神経回路の大部分は、子ども時代に確立し固定される。近年、それをリセットする方法が見つかってきており、さまざまな神経疾患の治療にもつながるのではと期待されている。

立体物を印刷できる3Dプリンターの進歩が、科学研究の新たな地平を開こうとしている。

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Japanese Author

脳内でネットワークを構築し、高度な機能を発揮するニューロン。その大半は、胎生期の神経幹細胞(神経系前駆細胞)が増殖と分化を繰り返すことで作られる。そして、生後は、ごく限られた部位を除いてニューロンへの分化能が失われる。しかし東京大学分子細胞生物学研究所の後藤由季子教授らは、ある遺伝子をマウス大脳の神経系前駆細胞に導入することで、誕生後に再びニューロンへと分化させることに成功した。

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News & Views

トウモロコシ粉と水を混ぜた液には粘性があり、それでプールを満たすと、忍者のようにその上を走ることができる。ところが立ち止まると沈んでしまう。この現象はどのような原理で起こるのか、今回、新たな実験に基づく考え方が提案された。

印加電圧を変えるだけで、絶縁体を金属に変える方法と材料が発見された。これを利用すれば、これまでなかった新世代の電子スイッチを実現できるかもしれない。

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News Scan

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