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神経分化:ドーパミン作動性ニューロンの分化段階に対する集団規模の単一細胞RNA-seqプロファイリング
Nature Genetics 53, 3 doi: 10.1038/s41588-021-00801-6
初代ヒト組織や発生段階の細胞において、ありふれた遺伝的バリアントの機能を研究することは難しい。この問題に取り組むために、我々は効率的なマルチプレックス戦略を用いて、215のヒト誘導多能性幹細胞(iPSC)株をドーパミン作動性ニューロンをはじめとする中脳神経運命へと分化させ、単一細胞RNA塩基配列決定法(scRNA-seq)を用いて、100万個以上の細胞について3点の分化時期でプロファイリングを行った。各細胞株から作られたニューロンの割合には高い再現性があり、多能性細胞で発現しているロバストな分子マーカーにより予測することができる。我々はまた、ニューロン発生の複数の段階およびロテノンによる酸化ストレスへの応答について、発現量的形質座位(eQTL)の特徴を解析した。これらのうち、1284のeQTLが既知の神経学的形質リスク座位と共局在し、46%がGTEx(Genotype–Tissue Expression)カタログに含まれていなかった。我々の研究は、scRNA-seqと長期的なiPSC分化を組み合わせることで、他の方法では解析できない細胞状態において、ヒト形質に関連した遺伝子バリアントの機構研究を可能にする仕組みを示している。