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ウシゲノム:代理表現型を用いた非相加的関連解析から明らかにされた新規のウシ症候群

Nature Genetics 53, 7 doi: 10.1038/s41588-021-00872-5

哺乳類の種では、1個体当たり約100の機能喪失バリアントが見られ、これらのうちの約1~5が必須遺伝子に影響を及ぼし、ホモ接合の場合には胚性致死あるいは重度の疾患を引き起こす。残りの機能喪失バリアントは、より不明瞭な形で適応度に影響を及ぼすとの仮定はあるが、これらのバリアントの機能を解明することは容易ではない。本論文では、13万725頭のウシにおいて、非相加的効果の発見と検証を目的として、塩基配列分解能でのスクリーニングを、これまでの最大レベルに匹敵する規模で行ったことを報告する。6つの新規劣性(潜性)座位が、相加的ゲノムワイド関連解析で見つかった最大効果のバリアントをおおむね超える効果を持つことが明らかになり、ヒトの疾患と類似性のある疾患やこれまで認識されていなかった疾患が示された。これらの座位は、説得力のあるミスセンス変異(PLCD4MTRF1DPF2)、未成熟終止変異(MUS81)、スプライス破壊変異(GALNT2FGD4)が見られるとともに、近交弱勢のかなりの割合を説明している。これらの結果は、選択した種において分離している有害な対立遺伝子の頻度分布が、新規の疾患を直接マッピングするのに十分な検出力を与えることを実証しており、遺伝的疾患の発生率を最小限にする選択の機会を示している。

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