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クロマチン解析:ゲノムワイドATAC-seeスクリーニングによりTFDP1は全体的なクロマチン接近性の調節因子であることが明らかになった
Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-024-01658-1
クロマチン接近性は活性化している調節領域に見られる特徴であり、転写ネットワークや細胞アイデンティティーと機能的に結び付いている。しかし、クロマチン接近性を制御する分子機構やネットワークは十分に調べられていない。本研究では、ゲノムワイドCRISPRスクリーニングと最適化したATAC-seeプロトコルを組み合わせて用い、全体的なクロマチン接近性を調節する遺伝子を特定した。CREBBPやEP400のような既知のクロマチン調節因子に加えて、多様な生物学的経路に属するTFDP1、HNRNPU、EIF3D、THAP11など、これまでにクロマチン接近性を調節することが知られていなかった多数のタンパク質が見つかった。それらのノックアウトに対するATAC-seq解析では、クロマチン接近性に対する明確で特異的な影響が明らかになった。驚くことに、転写因子であるTFDP1は、カノニカルなヒストンの転写調節を介して、全体的なクロマチン接近性を調節することが分かった。また、我々の知見は、ゲノム編集や誘導多能性幹細胞の再プログラム化など、さまざまな細胞工学的応用を進めるためのクロマチン接近性を操作する方法について明らかにしている。