空間オミクス解析：BANKSYは細胞タイプの判定と組織ドメインの区分けを統合し、スケーラブルな空間オミクスデータ解析を行う

空間オミクスデータのクラスタリングを行うことで、細胞タイプと組織ドメインの両方が定められる。本論文では、細胞自体のトランスクリプトームと局所の近傍細胞のトランスクリプトーム（それぞれ細胞状態と微小環境を表す）を積算した空間に細胞を埋め込むことで、これら2つの空間クラスタリングにおける問題を統合するアルゴリズムであるBANKSY（Building Aggregates with a Neighborhood Kernel and Spatial Yardstick）を示す。BANKSYの空間特徴拡張手法は、さまざまなRNA（画像化、塩基配列決定）およびタンパク質（画像化）データセットでテストした場合、両タスクの性能を向上させた。BANKSYは、マウス脳における予想外のニッチ依存性細胞状態を明らかにし、ドメインの区分けと細胞タイプの判定基準において競合する方法より優れていた。BANKSYは、空間トランスクリプトミクスデータの品質管理や空間情報のバッチ効果の補正にも使用できる。重要なことは、BANKSYが既存の方法よりも大幅に高速かつスケーラブルであり、何百万もの細胞データセットの処理が可能であることだ。以上のことからBANKSYは、空間分解されたオミクスデータを解析するための、正確で、生物学的に動機付けられた、スケーラブルで、汎用性の高い枠組みである。